「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第341回
「梅寿司」に駆け込んだ

11日間の旅が終わり、旅団は成田で解散。
帰りはいつもリムジンバスで
箱崎のT-CAT(ティーキャット)を経由する。
そこからタクシーに乗ると、5分で自宅に到着だ。
長いこと客待ちしていた運転手さんが気の毒だが
こればかりは致し方ない。
ツイてなかったと、あきらめてもらうしかない。

帰宅後、シャワーを浴びながら、
当夜の晩メシに思いを致す。
20時を回っていることだし、
浅草に出るのは少々億劫だ。
ここは近所の「梅寿司」でキマリだろう。
持ちビルの1階の清潔な鮨店である。
往時は、瓦葺きの立派な一軒家で
柳橋芸者衆の愛顧を思いのままにしたという。

名残りの枝豆でビールの中瓶を1本。
真子がれいをやや薄めに切ってもらう。
目の前に置かれた3切れのうち、
2切れにはエンガワがくっついている。
他店では身肉とエンガワを切り離してくるが、
初めて出会ったやり口だった。
微妙な歯ざわりに繊細な旨み、ちょいと感心した。

ケースに毛蟹を見とめたので、即刻お願い。
海鮮料理屋で、自分で殻をむきながら
むしゃむしゃやるのも嫌いではないが、
キレイなむき身で出してくれる鮨屋は
ことのほかありがたい存在だ。
脚肉の上にチョコンとミソも乗っている。
蟹酢ではなく、生酢(きず)をもらって
それに数滴の生醤油を落とす。
子どもの頃から、蟹はこの食べ方が一番好き。

すみいかをつまみに菊正のぬる燗を。
まだ小ぶりなすみいかは新いかと呼んでもよさそうだ。
和風の甘い味がほしくなり、
三河湾に揚がった蝦蛄を煮たのと
ついでに玉子焼きもお願い。

芋焼酎のさつま白波に切り替え、
すでに三枚におろされていた秋刀魚を1切れ、
塩焼きにしてもらった。
青背のサカナは鰯でも鯵でも焼いたほうが好みだ。
酢〆は好物だが、刺身はどんなに新鮮でも
滅多に口にすることはない。

焼き立ての熱いところにすだちを搾り掛け、
たっぷり添えられた大根おろしとともに味わった。
久しぶりの日本食。
それも真っ当な江戸前鮨の店でいただくのだから
舌も胃袋も雀躍しているのがよく判る。

さて、にぎりだ。
白身はつまんだので、最初は小肌から。
久々に見るイナセなかすり模様を間髪入れずにパクリ。
う〜ん、こりゃ、たまらん。
続いてあまり頼まない蛸に、即席ヅケの中とろは
どちらもキッチリ合格点。
あとは煮穴子と蒸しあわび。
コクの深いクラシックな煮つめを連続で味わって
これでおしまいの計5カン。お勘定は6720円也。
海外から帰ったら、やっぱり鮨屋に駆け込んでしまう。

 
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2007年10月22日(月)

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