「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第344回
今年最初のかきフライ

いよいよ本格的なオイスター・シーズンの到来だ。
英語で「R」の付く月が、かきの食べ頃だと言われるが
Septemberではまだ早く、Aprilでは遅きに失する。
やはり美味しいのは、10月中旬から3月初めまでだろう。

一昔前のかきの主産地と言えば、広島と松島だった。
三重県・的矢産はその頃から、知る人ぞ知る高級品で
小津安二郎の映画にも登場している。
最近の産地は同じ三陸でも松島から
ずっと北の海域へ拡がっているし、
北海道でも養殖が盛んになっている。

毎年、季節になると
有楽町の「レバンテ」に赴いて
生がき・かきフライ・かきピラフを
必ず食べる習慣がついている。
海外赴任を終え、帰国してから丸10年。
これは毎年欠かすことのない行事と化しているほどだ。
今年はまだ行っていないが、
仲間うちで「かき&ワインの会」の企画が
持ち上がっており、11月末か12月のアタマにでも
訪れようと思っている。

神保町の小学館ビルの地下に
「レストラン七條」なる洋食店がある。
「にっぽんの洋食」のみならず、
本格的なフランス料理の片鱗をも見せる店だ。

ある夜ふいに、かきフライが食べたくなった。
その夜は深い時間に友人と
神保町の「やまじょう」で待ち合わせていたのだが
その前にどこかで軽く一杯やろうという腹積もり。
これ幸いと「七條」に向かい、
初老の男性が独り海老フライを
食べているテーブルに相席と相成った。

かきフライ(1050円)とビールの小瓶をお願い。
相席の男性に真鯛のポワレが運ばれたので
4500円のコースだということが判明した。
日経の夕刊を読み終える頃、
かきフライとビールが登場した。
ビールはフライと一緒にとリクエストしてあった。

岩手産の大粒かきが4個付けと、けっこうなボリューム。
ポテトサラダ・トマト・千切りキャベツ・
タルタルソースがすべて一緒盛りとなっている。
1つはそのまま、もう1つにはレモンを搾り、
あとはタルタルソースと卓上の中濃ソースで1個ずつ。
大粒だけに大きな貝柱の固い食感がジャマだが
プックリとした身肉には舌鼓。

タルタルソースはゆで玉子の黄身が主張するタイプ。
中濃ソースはペンギンマークのユニオンソース社製。
製造元の住所は文京区根津になっていた。
このソースがかなりスパイシーで、酸味も併せ持つ。
4個は重かったかなと思いつつも
美味しく食べ終えて、行きつけの「やまじょう」へ。
「七條」のあとは「やまじょう」だ。

カウンターの大皿にパン粉の付いたかきが並ぶのを見て
ウプッとなりかけたが、食べなければよいだけのこと。
ところが「かきフライじゃないから当ててみて」と
女将に誘われ、いやいや1つ揚げてもらうと
何のことはない卯の花コロッケじゃないか。
当てるも何も、普通の舌の持ち主なら誰でも判るよ。
余計なコロッケのおかげで、本当にウプッときちまった。

 
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2007年10月25日(木)

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