「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第346回
花街の母の味 (その2)

向島料亭街にある江戸前鮨の「秀寿司」に来ている。
ばふん海胆を塩とわさびでいただいたところだ。
お次は若い衆が焼き上げてきた本ししゃもの塩焼き。
皿の上には、大きいのと小さいのがペアで並んでいる。
大きいほうがオス、小さいのが子持ちのメス。
本場・北海道は鵡川産の逸品であった。

さよりの糸造りはおろし生姜で味わう。
さよりというサカナはデリカシーあふれるサカナで
口内からノドにかけて、黒い表皮を持つために
腹黒などと揶揄されもするが
その食味はなかなかのものがある。
生のままなら生姜とよく合い、
酢〆にすると、わさびとの相性がいい。
はたまたにぎりとなれば、
ちょいと甘めのおぼろをカマせてやると本領発揮だ。

あん肝ポン酢もすばらしかった。
あん肝はそれこそピンキリで
素人が見分けるには、なるべくオレンジ色の
鮮やかなものを選ぶと間違いがない。
ここで菊正のぬる燗に移行した。

和辛子を効かせた鯖寿司を2切れ。
生姜やわさびではなく
マスタードを使うところがミソ。
鯖の身に重ねる昆布も白板や真昆布ではなく
おぼろ昆布が使われていた。

ネタケースに発見してからというもの、
気になっていた真鱈白子をここでお願い。
通常はどこの鮨屋でもサッとゆがいて
ポン酢と紅葉おろしというのが一般的だが
J.C.はそれに与しない。
甘辛く煮付けたのが好きなのだ。
それも十二分に火を通されたものがよい。

真鱈の白子や助宗鱈の真子は母親の大好物で
子どもの頃からずいぶんとその煮付けを
食べさせられているうちに、家族全員の好物になった。
気心の知れた鮨屋で白子を見つけると
必ずお願いしている。

いよいよにぎりに突入。
最初に小肌、続いてゆでた車海老。
小肌は〆加減ほどよく、海老はミソのコク味が深い。
赤身づけもちょうどよい醤油っ気で
そのまま煮キリを付けずにパクリとやる。

煮穴子を煮ツメでやり、
あとは鉄火巻きとかんぴょう巻き。
S月さんは大葉をカマせた鉄火が気に入りで
そのおすそ分けも回ってきた。

三代目のおかげで初めて訪れた「秀寿司」だったが
評価は何の躊躇もなく花マル。
最近、江戸前鮨に造詣が
深くなりつつあるM喜嬢もことのほかご満悦。
三代目曰く、この「秀寿司」に
「丸常鮨」と「むらさき寿司」を加えて
向島の「鮨御三家」と称するそうだ。
さてこれから西浅草に流れて
「バーリィ浅草」で飲み直し。

 
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2007年10月29日(月)

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