「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第354回
「たいめいけん」を見直した

東京・日本橋の老舗洋食店「たいめいけん」。
二十数年前はさほどの客足ではなかったが、
その後、人気が急上昇、
今では向かいのラーメン店「京都銀閣寺ますたに」と
行列の長さを競い合っている。

故伊丹十三監督の「タンポポ」で紹介された
チキンライスの上に乗せたオムレツにナイフを入れると
とろとろ玉子がドロリと流れ出て出来上がる
特製オムライスをメニューに加えたのが
一大転機となったのだろうか。

「たいめいけん」とのつき合いは長い。
かれこれ30年に及び、
カレーライスやラーメンにはよくお世話になった。
高級感のある2階席では小皿料理を
数度に渡って楽しませてもらった。

それがここ10年ほど、アラが見え出した仕事ぶりに
不満が噴出し始めて、評価をガクンと下げてしまう。
2005年の夏に上梓した
「J.C.オカザワの下町を食べる」でも
下町の名店二百選には選んだものの、
批評はかなり辛口なものになっている。
部分を引用してみると

 1階はカジュアルで大衆的、
 2階はデートや接待にもおかしくない。
 名物は数々あり、
 有名なボルシチと酢油キャベツ(各50円)は
 前者はキャベツの芯ばかり、
 後者は有料付け合せの感あって、
 どうということもない。
 タンポポオムライス(1850円)も
 チキンライスとオムレツを
 一緒盛りで食べるだけのハナシ。

ザッとこんな調子だ。
特にこの店の代名詞とも言えるボルシチと
酢油キャベツに難クセを付けて辛辣だ。
名物となったタンポポにもカラんでいる。

それが先週、久々に訪れて
♪ びっくり仰天、有頂天、
  コロリとイカれたよ
  マイ・ニホンバシ・たいめいけん ♪
(このところ、つまらないギャグに
やたら凝りまして申し訳ございません。
でもこれがお分かりになる方は
相当なお歳でございますよ、ハイ)

まずボルシチの具がキャベツの芯どころか、
柔らかい葉の部分も使用され、
にんじんとじゃが芋までたっぷり入り、
上品な味付けも好印象。
酢油キャベツもとても丁寧な作りになった。
これがともに50円とは本当に破格だ。
ともに文句ナシの必食アイテムとなった。

ロースカツもこの2日前に食べた銀座「煉瓦亭」の
ポークカツレツに負けず劣らずの逸品。
タンポポはオムレツもさることながら
もも肉使用のチキンライスが上々の仕上がり。
この1週間前に食べた人形町「芳味亭」のそれを
はるかに上回る出来映えであった。
ことここに到り、これからは「たいめいけん」を
応援していこうと心に決めたのである。

 
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2007年11月8日(木)

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