「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第356
久しぶりに自宅で夕食

日本橋の三越でショッピング。
日曜の夕方で店内は混雑している。
買い物を済ませ、ふと思いつき、
新装成った地下の食料品売り場をのぞいてみた。
ずいぶんレイアウトが変わってしまって
デキ合いの食料品が多くなった。
そのぶん鮮魚・精肉・野菜の品目が減ったように感じる。

その後、近所で夕食にしようとも考えたが、
日曜ではここぞという店が思い当たらない。
地下鉄で上野か浅草に出ようか、
それとも都営バスで浅草の先の
南千住か三ノ輪という手もないではない。

そのときである。
目刺し・塩じゃけ・鯵ひらき、
はたまた柳がれい一夜干しを扱う売り場に
珍しいサカナを発見した。
北は北海道から南は九州まで広く分布していても
漁獲量が極端に少なく、あまり店頭に並ばない
そのサカナの名前をツボ鯛という。

的鯛に似ているが、皮目はずっと固い。
身の締まった白身はとても美味しいものの
顔つきは素っ頓狂だ。
ひょっとこのように突き出した口に
出目金のように飛び出した目玉は
喜劇役者の伴淳三郎によく似ている。

何も考えず、1枚千円のツボ鯛のひらきを買っていた。
この次点で久々のウチメシが確定したのである。
ほかに買い求めたのは
若狭産の小鯛笹漬けとすだちと本わさび、
葉付きの蕪と桃太郎トマトに野沢菜。

自宅にはハウスキーパーのオバさんが
故郷の台湾からおみやげとして
持ち帰ってくれた紹興酒とピータンがある。
かくしてバスで帰宅。

卓上に冷やしトマト、小鯛笹漬け、わさびを並べ、
ツボ鯛の半身をそのままオーヴンで焼く。
焼ける間に、蕪の葉っぱと野沢菜をごま油で炒め、
蕪本体はおろし金ですりおろした。
さわやかな蕪を大根のかわりに焼き魚に添えるのだ。
冷蔵庫からビールを取り出し、
焼き上がったツボ鯛と一緒に食卓へ。

ビールもつまみも抜群の旨さ。
これで隣りに小股の切れ上がった美人でもいりゃぁ、
言うことはないんでやんすがね。
ここでファーストハーフは終了。
続いてセカンドハーフに向かっての準備。
紹興酒とピータンをテーブルに用意して
残り半身のツボ鯛をオリーヴ油でじっくりとソテー。
長方形の玉子焼き用フライパンだと都合がいい。

両面がほぼ焼けたら、サイモンとガーファンクルの
「スカボロー・フェア」に習って
パセリ・セージ・ローズマリー&タイムの
入った溶き玉子を上から流し込む。
しばらくは中火でそのまま。
仕上げは、ほんの1分ほどオーヴンへ。
まっ、世に言うピカタのアレンジ版ですが
旨いんだな、これが!

「J.C.オカザワの古き良き東京を食べる」が
上梓されました。
読者の方々5名様にプレゼントさせていただきます。
少数で恐縮ですが、奮ってご応募ください。
面白いんだな、これが!

 
←前回記事へ

2007年11月12日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ