「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第359回
越前そば「森信」で飲む

11月某日。
5年ぶりで文京区・大塚の護国寺を訪ねた。
前回は告別式に参列したが
今回は僧侶と舞踏家のコラボレーション。
題して「僧侶と托鉢行脚の旅」。
声明、いわゆる旋律を伴う経文を唱えるのは
真言宗豊山派の青年僧侶が何と70人。
踊るのはフラメンコ界の第一人者・長嶺ヤス子独り。

安養院住職の平井和成師によれば、
「私、お経で踊りたいの」
長嶺ヤス子のこのひと言から始まった縁だという。
本坊前のかがり火のもと、煩悩から解脱する女を
1人の舞踏家が踊りぬいた濃密な1時間であった。

公演のあとは当然のように酒宴。
駆けつけた仲間は総勢6名だ。
イベントの始まる19時前に
あらかじめ見つけておいた「森信」へ。
護国寺正面から江戸川橋に向かって一直線、
徒歩3分の至近距離にある。

大根おろしで食べさせる越前そばの店は
夜になるとそば居酒屋の様を呈する。
乾杯のスーパードライの生は
そば屋にしては、お上品に小さめだから
一気に飲み干して、すかさずのお替わり。

あとは芋焼酎の宝山のロックに移行したが、
富乃か吉兆か、はたまた薩摩か聞きそびれた。
おそらくもっとも廉価な薩摩宝山だろう。
突き出しの蓮根の鰹節和えはちょいとおざなり。

いかにも北陸らしい鯖&ふぐ卵巣のへしこが
ビールにも焼酎にもよく合う。
越前塩雲丹を添えた板わさは
わさびがニセなので、雲丹を塗りつけて味わう。
おからの出ない豆腐は通常の冷奴と
胡麻豆腐の2種類が出てきた。
おからを出さないぶん、濃厚な仕上がりとなっている。

自家製のさつま揚げ、同じく自家製の春巻き、
そば屋定番の玉子焼き、トマトとハムと玉子の炒めもの、
何だか、和・漢・洋、入り乱れてのつまみ類だ。
いずれもそこそこの出来映えで
これといった名品にはぶつからなかったが、
玉子焼きだけは上々であった。

越前そばの店ではよく、
ソースかつ丼を見掛けるもので
この店にも品書きにとんかつ(1260円)がある。
ものは試しと2人前を注文。
値段のワリに小ぶりなとんかつは
何の変哲もなく、これは失敗の巻。

仕上げは大根おろしと鰹節のぶっかけそばを
ガザ海老・水なす・いんげん・さつま芋の
天ぷら盛合わせと一緒に。
福井産のガザ海老は、繊細さに欠けるが味は濃い。
アタリとは言えないものの、
ハズレでもなかった小雨まじりの晩秋の夜。

 
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2007年11月15日(木)

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