「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第361
「たんたん亭」のラーメンは煮干しの匂い (その1)

住まいのある浅草橋から
井の頭線の浜田山まで
出掛けてゆくのは少々億劫なのだが
何かと訪れる機会が多い。

第一に不定期ながら中華料理店「しむら」で
食事会を催すことがあるからだ。
ほかにも居酒屋の「和田」や
焼き鳥の「ファンキーチキン」あたりで飲む。
そのような店がすべて駅のそばに
点在しているのが便利この上なく、
きわめて使い勝手がよい場所だと言える。

最近は2週間に1度ほどのペースで
過去に訪ねて気に入ったラーメン店を再訪している。
先週紹介した南阿佐ヶ谷の「蓬莱軒」に引き続き、
今日は浜田山の「たんたん亭」におジャマしよう。
1977年の創業だから、ちょうど今年で30周年。
ご同慶の至り。

都内各地に弟子たちが独立開店している。
兜町「八島」、目黒「かづ屋」、中目黒「八雲」を
食べ歩いてみたがルーツである「たんたん亭」を
凌駕する店は1軒としてない。
このあたり、家元の面目躍如といったところ。
すでにラーメン界を退いた創始者が
近所で目を光らせているのも一助になっていよう。

1つしかない浜田山の改札口を右に出て、
商店街を歩き始めると、すぐ右手にある。
入店と同時に鼻をつくのは濃厚な煮干しの匂い。
鳥ガラや豚骨などの四足系スープをベースに
煮干し・鰹節・鯖節・干し海老の魚介系と
昆布・しいたけの乾物も加えると
極上のスープができ上がる。
前回ふと思ったのはこのスープに合うのは
胡椒ではなく、七色唐辛子ではないかということ。
この日はしっかり七色をポケットに忍ばせてきた。

このスープに鼻腔を刺激されながら注文を通す。
お次に刺激されるのは聴覚だ。
ごく普通のラーメン店といった趣きの店内に
流れているのはモダンジャズ。
もっとも一昔前なら珍しかったかもしれないが
今ではそば屋・居酒屋でも、ジャズは当たり前になった。

支那そば(700円)には煮豚ではない焼き豚が1枚。
しっとりとしたもも肉には豚本来の風味がいっぱい。
チャーシュウメンは嫌いで、頼むことはないのだけれど、
この店のものなら美味しく食べられそうだ。
ほかにはシナチクと焼き海苔。

さっそく卓上の黒胡椒の代わりに
七色を振り掛けると思った通り、こちらの相性がいい。
極細ややちぢれ麺はしなやかな歯ざわり。
ノビる前にやっつけるつもりで
箸の上げ下げのピッチを早める。
次回はチャーシュウメンを食べてやろうと
思いをめぐらせつつ、食べ終えた。

そして再訪時にお願いしたのは
チャーシュウメンに非ず。
なぜかワンタンメンなのであった。

 
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2007年11月19日(月)

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