「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第366回
あの「元祖恵比寿ラーメン」は今!(その1)

恵比寿駅から歩いて数分の、駒沢通り沿いにあった
「恵比寿ラーメン」をご存知だろうか?
およそ30年前に屋台で始めて
その後人気を博して路面店を構えたが
この7月いっぱいで閉店した。

聞くところによると、女店主は上海上陸を目指すという。
いろいろな飲食店が上海出店に走っていて
何やら戦前の「満州で一旗」に似た様相を呈してきた。
わりと好きなタイプの醤油ラーメンで
恵比寿で食べられなくなるのが残念と言えば残念。

しかしながら、恵比寿の「恵比寿ラーメン」の
流れを汲むラーメン店が浅草の千束にある。
実際は流れを汲むどころか、
こちらのほうが本家本元なのである。
したがって店名も「元祖恵比寿ラーメン」と頼もしい。

「元祖恵比寿」の店主と「恵比寿」の女店主は
ご夫婦だったと聞いた。
詳しいことは存ぜぬが、離婚に際して
創業者の「元祖恵比寿」が別れる妻に
店を譲ったのだそうだ。
いろいろな噂も耳にしたが、
ヤジ馬根性は戒めなければならない。
そのあたりは語らないことにしておく。

「元祖恵比寿ラーメン」は恵比寿を出て
しばらくは六本木の防衛庁の脇、
現在、ミッドタウン東京の建つすぐそばで
短い期間を営業したあと、浅草まで流れてきた。
かれこれ10年近くになるだろう。

千束店に初めて伺ったのは2000年11月。
以後、'03年と'05年に1度ずつ、
今回は2年9ヶ月ぶりとなる。
気に入りのラーメン店再訪シリーズ第3弾は
「元祖恵比寿ラーメン」を取り上げる。

最初の2回は恵比寿時代とまったく変わらぬ味に満足。
3回目の'05年2月にオヤッ?っと思った。
今までにない違和感があったのだ。
自著のハナシで恐縮だが、したがって
'03年12月に上梓した「浅草を食べる」では
名店百選の仲間入りをさせたものの、
‘05年7月発売の「下町を食べる」では
二百選にあと一歩の優良店にとどめた。
その際の批評はこういうものだった。

ここ2、3年、変わったように思う。
福田製麺のしなやかな細打ち麺の
変わらぬシコシコ感は何とも言えない。
問題はスープだ。
懐かしいあの支那そば特有の匂いとコクが薄まった。
その代わりに塩気にトンガリを感じるようになって、
表面に浮かぶ油も増えた。
若者向けになったと言うか、肉体労働的になったと言うか、
明らかにそんな変化が見られる。
もも肉チャーシューはいいデキだが
海苔が油を吸ってしまい、
シナチクはあんなにたくさん入れなくとも。
マジ、復刻版が食べたいッス。

'03年5月と'05年2月の間に
何かが起こったとしか思えない。
はたして‘07年11月はいかに?


          =つづく=

 
←前回記事へ

2007年11月26日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ