「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第370回
人気絶頂の海鮮ひつまぶし(その3)

築地の場外市場であっという間に
数店舗の系列店を経営するまでになった
虎杖グループに所属する「魚河岸千両」に来ている。
友人とシェアしている海鮮ひつまぶしの3膳目は
出汁を注いで食べるお茶漬けスタイルだ。
これが生臭くて仕方がない。
この食べ方の致命的欠陥は
酢めしに熱い出汁を掛けること。
相性の悪いことはなはだしい。

もしもこの流儀が美味を呼ぶなら
すでに先人が始めているハズで
関東でも関西でも前代未聞ということは
ひとえに美味しくないからだ。
1900円という値付けも高すぎだる。
適正価格は1200円がいいところ。
個人的には海胆を抜いて800円でいいと思う。

「魚河岸千両」を紹介してくれた
読者のK原さんには申し訳ないが
この海鮮ひつまぶしと
四谷「すし匠」のばらちらしを比べたら
「すし匠」が可哀相、江戸前シゴトがむせび泣く。
実力的には野球にたとえると
レッドソックスと早稲田大学ほどの差がある。

それよりもこの海鮮ひつまぶしが
現代の、主として若者に受け入れられるのは
明らかに日本人の味覚が
大きく変化していることを意味している。
これは憂慮すべきことですよ、ジッサイ。

生モノと酢めしの合体が
鮨そのものと理解している若者が多すぎる。
トロ・いくら・海胆ばかりを、ほお張っていては
赤身・小肌・穴子の魅力は到底判らんだろうなぁ。
化学調味料に汚染された焼肉の食べすぎも
不幸な事態を招いた一因と思われる。
いや、本日は少々生意気を言わせてもらいました。

さて、お次は生青海苔の味噌椀付きの
築地市場セット(2300円)なるにぎり鮨だ。
10カンにかんぴょう巻きが2ピースの内容だった。
これを相方と分け合うので
順番に1カンずつ選んでゆく。
ジャンケンに負けたので先攻は相方だ。
その結果、それぞれの戦利品は以下のようになった。
相方―するめいか・〆さば・ほたて・中とろ・いくら
J.C.―赤身・穴子・ぼたん海老・真鯛・海胆

案の定、にぎりもいけませんでした。
相方は回転寿司のレベルだと息巻いている。
(回転寿司店さん、ゴメンナサイ)
ネタが酢めしから剥がれるのだから手に負えない。
このセットの適正価格は900円だろう。
支店の出しすぎで職人の技術が追いつかないのだ。
あぁ、何という悲劇。

この店の海鮮ひつまぶしについて
ネットではやたらに感動、感動と、感動の嵐。
いつの頃から日本の若者の感動はこんなに
安っぽくなっちまったんだろう。
もしもこういう輩(やから)が
自分のムスコだったら、絶対にカンドウしてやる。

 
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2007年11月30日(金)

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