「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第373回
そばにこだわる外人ピアニスト(その1)

文豪・巨匠・名人を45人集めて
行きつけた店を追跡するという企画の本が
最後の永井荷風を持って、やっと脱稿したその日。
早いハナシが一昨日の月曜日なのだが、
親しい友人がパリに引っ越すので
成田空港に見送った。

出発まで時間の余裕があり、
彼女と彼女のファミリーと一緒に
軽くランチでも食べようということになって
ターミナル内の「京成友膳」なる店へ。
こういう場所で食事することは極めてまれにつき、
期待はしていないが、どんなモンかいな?
という好奇心は無きにしもあらずだ。

メニューを開くと、客単価を上げる苦肉の策だろうか、
やたらめったらセットメニューが多い。
けんちんうどん&いなり寿司やら、
ざるそば&ネギとろ丼やら、そんなのばかりだ。

ぶたラーメンだったかな?
そんなネーミングのラーメンも単品ではなく、
隣りにライスの写真が写って1100円。
ラーメン・ライスにしてはかなりお高い。

軽くそばでもたぐろうと思っているのに
メニューにはシンプルなもりそばの掲載がない。
天ぷらそば(1200円)はあった。
むやみに「よろしかったでしょうか?」を
連発するウェイター君にイライラしつつも
もりの単品は?とお伺いを立てると、
ざるそばはあるようだ。
それならばと、ざるの海苔ナシを所望する。
悪貨が良貨を駆逐するように
海苔はそばを阻害する。

5分と待たずに、ざる−海苔=もりが登場。
薬味はさらしねぎとわさび。
わさびを一なめしたら、レトルトのニセだった。
どっちみち使わないのだが、
これならば、もっと安い粉わさびのほうが若干マシ。

そばを一口すすると、歯にしみとおるほどに冷たい。
コシもじゅうぶんにあり、ほのかにそば粉の香りもする。
そばつゆは化学調味料が主張するものながら
全体的に予想を上回るデキのそばだった。
メニューにはなかったので
レシートをチェックすると、金750円也。
一流店のせいろより高いが、
所場代込みだから致し方ない。

彼女を見送り、クルマで来たファミリーとも別れて
京成電鉄の車中の人となる。
浅草橋まで1時間以上の道行きだ。
ミシュランの星を逃した料理人たちの
コメントが掲載されている週間新潮を開いた。
ここで興味深い記事に遭遇した。

半ページの「日本三昧」なるコラムの書き手は
ピョートル・アンデルジェフスキさんというピアニスト。
ポーランド人の父親とハンガリー人の母親を持つ。
国籍は存ぜぬが、いずれにしろ東欧圏出身の人だった。
この記事がとても面白い。
う〜んと唸って、感心させられた。

            =つづく=

 
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2007年12月5日(水)

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