「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第375回
馬よアナタは ウマかった!

馬肉はとても好きである。
子どもの頃から慣れ親しんでいるからだ。
生まれ故郷の長野県・長野市では
馬肉は日常的に食べられていた。
精肉店でごく普通に売られているのだった。

何よりも脂身が少ないのがよい。
霜降り肉もあるにはあるが
牛肉のそれよりも、ずっとアッサリしている。
脂身が好きな人にはタテガミがおすすめだ。
この部分は真っ白なオール脂身となっている。

馬肉が食べたくなると、
出向いていくのは浅草の先の吉原。
大門のあった場所の真向かいに
2軒の専門店が並んでいる。

大正建築の立派な佇まいを見せているのが
老舗中の老舗の「中江」。
もう1軒の庶民的な店が「あつみ」だ。
雰囲気に浸りたいときには「中江」。
気軽に仲間うちで鍋を囲むのなら「あつみ」。
こんな感じで使い分けている。

今回は吉原ではなく、深川の森下に出掛けた。
清澄通りと新大橋通りがぶつかる交差点近くの
「みのや本店」である。
この店は馬肉料理屋には珍しく、
小石川や北千住にも支店を構えている。

ちょいとバタバタする1階よりも2階が落ち着く。
ビールはスーパードライの大瓶。
ここの新香盛合わせは必ず頼むことにしている。
きゅうり・かぶ・にんじんの浅いぬか漬けに
野沢菜・しば漬け・花らっきょうの陣容で
これがたったの200円。
馬がパドックならぬテーブルに
現れるまでの恰好のつまみになるのだ。

ここでは刺身よりも鍋が先に来てしまう。
より丁寧な包丁さばきが求められる刺身は
どうしても時間が掛かるらしい。
スペインの安価な赤ワインに切り替えて
煮えてきたロース肉から先につつき始めた。

鍋の真ん中に盛られた赤味噌ダレを
少しずつ溶かしながら味を調節してゆく。
ザクは長ねぎ・白滝・焼き麩の3品。
オプションの豆腐を頼んでもいいが
300円で山盛りだから、2人には多い。

ロースに続いてヒレを味わう。
ともに1人前2千円だが量は少ない。
若者なら5人前はへっちゃらだろう。
ロースといってもほとんど赤身で
ヒレより多少歯ごたえがある程度だ。

品書きに並と表記されているわけではないが
単なる桜鍋(1800円)を追加する。
いろいろな部位が混ざっていて
その変化が面白い。

そうこうしているうちに
やっと桜刺しが登場する。
おろし生姜でいただくと
馬肉特有のまろやかな滋味が舌の上に拡がる。
馬よアナタはウマかった!

 
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2007年12月7日(金)

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