「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第376回
ロースカツは驚きの柔らかさ (その1)

ニューヨーク在住の旧知の友人、
M永クンが帰国したので一緒に食事。
出版社勤めのN荻サンもあとから合流する予定。
場所は高田馬場のとんかつ店「とん太」。
駅から歩いて5分ほど、新目白通り沿いにある。

今、新著の企画が持ち上がっていて
その取材を兼ねていることもあり、
ほかのお二人には有無を言わせずに
無条件でモリモリ食べさせねばならない。

前回は独りカウンターで
ランチのとんかつ定食を食べたが
当夜は小上がりに2つあるテーブルの
片方に落ち着いてくつろいだ。
ビールは生がブラウンマイスター、
瓶は一番搾りの中瓶とのこと。瓶にする。

以前は苦手だった一番搾りながら
最近は味が変わった気がする。
余計な香りが除去され、ケレン味が薄れて
ずいぶんとスッキリしてきた。

めったに飲まない銘柄だから
いつの頃からか判然としないものの、
明らかに違うことが判る。
それもマイナーチェンジなどではなく、
大きく異なり、今ではむしろ好きなくらいだ。

一番搾りと言えば、新製品の
とれたてホップ生ビールはとても旨い。
わが家の冷蔵庫の中で
大きな顔をしている牢名主は
あくまでもスーパードライだが、
とれたてホップも一角を占めつつある。
近年まれにみる冷蔵庫内の変革と言えよう。

オイスターが苦手のN荻サンが
遅れてくるのをこれ幸いと、
最初に頼んだのは海の幸のフライ盛合わせ。
大きめの海老フライ1本、
白身魚のフライ2片、かきフライ2個の陣容で
火の通しがごくごく浅めの、かきフライがベスト。

ところが、M永がかきフライに首をかしげている。
とは言っても、実際は首がほとんどないから、
頭がそのまま傾いているだけだ。
どうやらニューヨークで
シツコい生がきばかりを食べ続けたために
味覚障害を起こしたものと推察された。

白身魚はかなりの脂気があって
キスやタラや平目の類いでないことが歴然。
銀ムツのようなコク味がある。
店の方に訊ねると、はたしてメロという答え。
あっ、やっぱりね。

一時期は銀ムツと呼ばれていたメロは
チリやアルゼンチンで獲れる深海魚のこと。
日本の黒ムツや赤ムツとは別種で
マゼランアイナメという立派な名前を持つ。
銀ダラの代替品だったことから
銀ムツの名が付いたとされている。

1皿目を食べ終える頃、N荻サン登場。
いよいよ「とん太」名物ロースカツの出番である。

            =つづく=

 
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2007年12月10日(月)

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