「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第380回
売り切れご免の焼きトン屋 (その1)

中目黒から1つ目の祐天寺には
意外なことに、旨いもの屋が目白押し。
もちろん中目黒にも優良店が散在しているから
このエリアにはときどき出没する。

日本人の髪の毛の色とは
違う色をした髪の毛の若い日本人で
ごちゃごちゃしている渋谷の街は嫌い。
その隣りで気取りすぎの感ある代官山も
あまり居心地がよろしくない。

そこからほんのちょっと南下するだけで
気に入りの店が何軒も現れるのだから不思議だ。
以前は親しい友人が住んでいた祐天寺では
ちょくちょく酒を酌み交わしたものだから
土地カンはありすぎるほどにある。

久しぶりに祐天寺の駅に降り立ち、
駅近くの工藤静香が経営していた
アクセサリーショップの前を通ると、
そこはすでにフランス料理店になっていた。
そりゃあ、趣味の商いよりも育児が大事だ。

ときに15時ちょい過ぎ。
待ち合わせには少々早く着きすぎた。
平日のこんな時間にこんなところで
待ち合わせた相方は
このコラムにも何度か登場している
向島の料亭の三代目。

彼に誘われて、のこのこ目黒区まで
やってきたのだが、この日の目当ては
城西地区で人気ナンバーワンを誇る焼きトン屋。
その名を「忠弥」と称する。
何せ、15時半に開店すると、すぐに満席となり、
あとは次々と客が詰め掛けて
仕込んだ串が19時過ぎには売り切れご免。
仕込みがあるとはいえ、
開店から4時間で売り切れとは
ほかの店が聞いたら、うらやましがるだろう。

暖簾には焼き鳥と染め抜かれていても
ここに鳥はいない。
おそらく以前はいたのだろう。
今、いるのは豚である。

三代目とキリンの生の大ジョッキで乾杯。
最初と最後で味の変わってしまう大ジョッキは
めったに注文しないが
この日はそれだけ喉が渇いていたわけだ。
グイーッとやって、プッファーだ。
こんな時間から飲み始めて
世間のマジメな勤め人サンには申し訳ない。

きざんだキャベツの浅漬けがこの店のお通し。
勝手知ったる三代目のリクエストで
そのキャベツにたっぷりのきざみねぎを
混ぜ込んだものが大盛りで出てきた。
これで植物繊維の補給もじゅうぶん。

さて、豚もつだ。
初っ端のもつ煮込みが煮込みらしくない。
ところが一口つまんで、早くも悩殺された。

          =つづく=

 
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2007年12月14日(金)

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