「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第384回
シャレた屋号の「琴寿し」で飲む

今年の師走も昨年に引き続き、
五反田のゆうぽうとで
長嶺ヤス子のフラメンコ。
今回は初めて彼女自身の
ヴォーカルを取り込んだ新企画。
おおむね観衆のウケはよかったように思う。

19時開演の21時終演につき、
開演前に五反田の街に向かい、
終演後の落ち着き先を物色する。
昨年はイタリアンの「イル・パドリーノ」だった。

裏町をさまよっているうちに
見つけたのが「琴寿し」。
1年ほど前にたまたま銀座のバーで
隣り合わせた客と言葉を交わし、
話題が鮨屋に及んで、そのときにその方が
推奨していたのが五反田の「琴寿し」だった。
これも何かの縁と、今夜はここに決めた。

カーテンコールもそこそこに
「琴寿し」に取って返し、
暖簾をくぐったのは4人。
遅い時間のせいか、ほかに客はいない。
一見したネタケースのサカナは悪くない。
ビールは珍しく、スーパードライの小瓶。
突き出しには生しらすが出た。

肌つやのよい皮はぎが目を引いた。
脇の小皿には肝も取り置いてある。
さっそくお願いすると、刺身に肝を和えて来た。
これは予想外。本当は肝醤油で食べたかったのに。
まっ、ものがいいから、これはこれで納得。

麦焼酎の壱岐づくしに移行して
まぐろの赤身と北寄貝を切ってもらう。
切り身の厚いのがどうも気になるが
素材自体はよいものだ。
わさびも常におろし立てを添えてくれる。

ここで品書きボードにあった珍品を2品。
たら肝ポン酢は、真鱈の肝をあん肝風に仕上げたもの。
コク味ではあんこうに一歩ゆずるものの、
そのぶんデリケートな風味を楽しむことができて
J.C.はこちらのほうが好みだ。

帆立のバター焼きのリゾット風は
鮨屋では初めてお目に掛かった。
焼き立てを海胆のソースとともに
酢めしにからめて供する。
少々、気色が悪かったが、いざ食べてみると、
これが驚くほどに意外な食味。
ハッキリ言って、相当に旨いのである。
一風変わった雰囲気を持つ店主の株が
グーンとハネ上がったことは言うまでもない。

芋焼酎の山ねこに切り替えて
するめいか塩辛・蛍いか沖漬け・塩海胆の
しょっぱいもんトリオを少しずつ分け合う。
すべて自家製ながら、塩海胆が断トツだ。

締めのにぎりは軽めに抑えた。
小肌・槍いか・中とろ・かんぴょう巻き。
サカナはなかなかだが、
いかんせん酢めしが冷たすぎる。
最後の最後で店主の株が
ちょいと下がったことは言うまでもない。

 
←前回記事へ

2007年12月20日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ