「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第393回
ふぐを食べるなら 絶対ここだ!(その2)

♪ 一人酒場で飲む酒に
   かえらぬ昔がなつかしい ♪

岡林信康が「山谷ブルース」に歌った
その山谷の隣り町、橋場の「山海」に来ている。
今回が2回目とあり、ニセわさびを見越して
本わさびとおろし板をフトコロに忍ばせてきた。

スーパードライで乾杯していると、
スッと出た突き出しが、今宵も再び凝っていて
出し巻き玉子に、蕎麦の実のあんかけ。
大きな紙に小さな文字で書かれた品書きは
料理の数が半端ではない。
目を通すだけでも、相当の時間が掛かる。

壁の貼り紙が気になった、
とらふぐ1尾=1万3千円、
というのを最初にお願いする。
刺しもちりも、それぞれたっぷり3人前ほどの量。
ふぐの白子焼きも2人前ほど注文しておく。
あとは生モノの入荷状況をお運びのお姐さんに訊ねて、
平目・赤貝・みる貝・まぐろ赤身・中トロの盛合わせ。

ふぐ刺しは前回同様、しっかりとしたもので
一同、何の異存もなく、ただひたすらに箸を動かす。
刺身の大皿が登場して、オヤッ?っと思った。
これはもしかして・・・。
わさびを一なめすると案の定、本わさび。
ハハーン!とひらめき、「バーリィ浅草」に電話。
やはりそうであった、K村氏の差し金であった。
でもこの「山海」はエラい!一人の客の忠告に従い、
ニセを一掃して、すべてを本わさに切り替えたのだ。
こうなると俄然、刺身が活きてきて、いずれも旨い。
小ぶりな白子焼きは、火の通しが完璧。
年明けには大きく育つふぐ白子だが、
繊細な滋味を持つ、年内のほうがよいくらいだ。

あとから追加した金目の煮付けと
きんきの煮付けが運ばれた。
どちらも文句の付けようがない。
ことにその夜のきんきの肝は特大サイズで
食べ応えじゅうぶんであった。

ふぐの鍋は、しゃぶしゃぶ&ちりの二本立て。
思いがけずもうれしい誤算で
ここまで期待はしていなかった。ありがたい。
ザクは豆腐・春菊・白菜の正統派トリオ。

湯が煮立ったところに
箸でつまんだふぐの薄身を素早く泳がせ、
口元に運ぶと、その歯ごたえがたまらない。
ポン酢の塩梅もよく、牛しゃぶなんか目ではない。
こんなに旨いモンがあるんじゃ、
世の中、まだまだ捨てたものじゃあない。
すでに4人の目の色が変わっていた。

上には上があるもので、しゃぶしゃぶもスゴいが
ちり鍋はその上をいった。ブツ切りではなく、
あばら骨に沿って包丁が入り、
フレンチの骨付き仔羊、いわゆるラムチョップ状態。
他店とはまったくの別物で、
味はいいわ、食べやすいわで、またまた大好評。
雑炊なんかどうでもいいや、という気になってきた。
これでお勘定は、4人で36500円。
どうなってるんだ、この店は!
下町でふぐを食べるなら、絶対に「山海」だ。

 
←前回記事へ

2008年1月3日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ