「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第398回
歌舞伎座前の「辨松」の弁当 (その2)

コレド日本橋地下1階のスーパーPresseで
「辨松」の弁当の品定めをしている。
迷いながらも3種類あるうち
手にしたのは二段重ねの二重弁当。
ノスタルジックな包み紙が好印象を与え、
手に持ったときの感触も昔懐かしいもの。
結局、これに決めた。

甘さに飽きるといけないので
箸休め代わりに小さなパックに入った
マカロニサラダも買い求める。
純和風の弁当に、こういうものが一品加わると、
とても効果的なアクセントになるのだ。

おもむろに二重弁当を開く。
上段がおかずで、下段がごはん。
ごはんには胡麻塩が振られ、
真ん中には青い小梅が一粒、
あどけなく鎮座している。

ここでいつも気になる問題点が一つ。
ごはんのフタにけっこうな量の
ごはん粒が付着してしまうのだ。
フタとごはんの間にパラフィン紙をはさめば、
それで済むことなのに、
創業140年を誇る老舗としては
いま一つの気配りに欠けている。

そのまま捨てるわけにもいかず、
ごはん粒ハガシが食前の準備運動だ。
これがなかなかきれいにハガレてくれない。
約1分間を費やして、いよいよおかずのほうだ。
ズラリ並んだコンテンツは以下の通り。

 めかじき味噌漬け、出汁巻き玉子、かまぼこ、
 煮もの(ボール揚げ2個・しいたけ・つと麩・
 里芋・竹の子・山ごぼう)、豆きんとん、
 切りいか、奈良漬け、葉唐がらし

煮ものの甘いこと、甘いこと、
これだけ甘いとデザートはまったく不要だ。
出汁巻きにまで砂糖がたっぷりだから
甘みのないのは、かまぼこと葉唐がらしのみ。
しかも豆きんとんや切りいかも相当な甘さだ。
老舗が食中毒を極度に恐れているのが
手に取るように判る献立てとなっている。

ふと思って、J.C.流にアレンジしてみた。

 赤魚粕漬け、玉子焼き(醤油入り砂糖抜き)、
 焼き板、煮もの(鳥肉・竹の子・しいたけ
 絹さや―砂糖ひかえめ)、キンピラごぼう、
 昆布巻き、しば漬け、きゃらぶき

これなら、甘辛のバランスが取れて
より美味しくいただけることだろう。
いずれにしろ、豆きんとんや切りいかは
現代人の嗜好に合わなくなってきているのでは。
とはいうものの、こういった個性的な弁当が
生き残っているのはうれしいのも事実だ。

最後に久保田万太郎が「辨松」の弁当を
詠んだ句を紹介しておこう。
  弁松の 煮物の味の 夜長かな
どぜう好きの万太郎は、甘い味付けを好んだようだ。

 
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2008年1月10日(木)

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