「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第406回
鮮魚がいっぱいのイタリアン (その2)

東京ではおそらく唯一のヴェネツィア料理専門店、
日本橋本町の「ダンドロ ダンドロ」※1に来ている。
まぼろしのビールといわれるメナブレアを飲みながら
メニューを開くと、チケッティ(おつまみ)として
いわしのサオール(南蛮漬け)がスッと出た。

カルパッチョに使うのは岩手産の短角牛。
霜降りではない赤身肉の滋味と噛み応えを
楽しませようというシェフの腹積もりだろう。
ザッと目を通してみたが、アンティパストの品揃えは
もうちょっと増やしてほしいところだ。
代わりにパスタとリゾットの品揃えがハンパではない。
殊にヴェネツィア人の愛するリゾットが充実している。

本日のスペツィアーレを紹介されると
一も二もなく惹かれるのが
その朝、外房は千倉の港に揚がった鮮魚の数々。
その日は、真鯛・すずき・いなだ・赤やがら・黒むつ・
金目鯛に、渡り蟹まで勢揃いしていた。
ほかにニュージーランドの手長海老(スカンピ)も。
迷いに迷いつつ、白身と青背の盛合わせということで
真鯛といなだのサルタート(ソテー)に白羽の矢。

この夜は仲間と4人で
前菜・サカナ・肉・パスタ・リゾットを
それぞれ小さめのポーションでお願いした。
ワインはともにヴェネト州の
白がベルターニのレ・ラーヴェ'04年、
赤はテデスキのロッソ・ラ・ファブリゼリア'00年。
郷に入れば郷に従え、の例え通りだ。

最初の皿はすずきと赤やがらのカルパッチョ。
新鮮な白身魚は薄切りの生食に限る。
どちらも繊細でピンクペッパーがアクセント。
続いて登場した鮮魚のサルタートは
真鯛にはマスタード、いなだにはポルチーニの異なる
ソースがあしらわれ、北イタリアらしさをうかがわせる。

肉料理は茨城産の仔牛のカツレツと
エゾ鹿のローストの2つで、これまた迷った。
ほかの料理がすべてシーフードだったから
赤ワインのためにも赤身肉をと、エゾ鹿に決めた。
しかもロースに加えてバラ肉が
入荷しているとあってはなおさらだ。
はたして鹿のバラ肉とテデスキの相性は抜群だった。

パスタは渡り蟹のスパゲッティーニ・ポモドーロ。
ついさっきまで店先の水槽で
アブクを吹いていた渡り蟹の旨さたるや
ヴェネツィア名物のくも蟹に勝るとも劣らず、
久々に本格的な蟹のパスタを味わった気分。

最後の皿は手長海老(スカンピ)のリゾット。
甲殻類のストック特有の風味が立ちのぼり、
フレンチのアルモリケンヌソースを思わせる。
いか墨のリゾットにしなくてよかった。
食後に心おきなく歯を見せて笑えるし・・・。

すでにお腹はふくれ上がっている。
それでも女性陣はドルチェは別腹とばかり、
ニホンバシと名付けられた抹茶とこし餡入りの
ティラミスに夢中であった。
それが数日後には、そのままそっくり
下っ腹に蓄えられるとも知らないで・・・。


本日の店舗紹介
1 「ダンドロ ダンドロ」 http://www.dandolo.jp/

 
←前回記事へ

2008年1月22日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ