「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第414回
西荻は中央線一のグルメタウン(その2)

西荻のうなぎの名店「田川」の小上がりに
ポツンと独りで座っている。
1時間ほど経過して、うな重がやっと運ばれた。
肝吸いの肝は軽くあぶられている。
ほかに三つ葉としいたけ、そして柚子の皮が1片。
肝を炭火であぶるところが、この店の特徴。
新香は別注品が大根と山ごぼうだけなのに
お重に添えられたのには奈良漬けも加わり、
なんだか他店とは逆さまだ。

1時間も待たされたうな重(竹)のふたをとる。
一番安価な1890円のものだが、
ごはんの上に鎮座まします丸1匹ぶんのうなぎは
かなりのサイズで、見るからに食べ応えがありそう。
特に下半身が太っていて、珍しいカタチをしている。

以前に比べ、ちょっとタレが辛くなったような気がした。
ごはんは柔らかめなのに歯応えのある不思議なタイプ。
全体としてはバランスの取れた一級品の仕上がりだ。
昼ならともかく、夜に一人きりで小上がりに上がって
うな重を食べていると、
わびしさも手伝い、酒が飲みたくなるものだが
ごはん粒に酒でもないから、ここは我慢した。

「田川」を出て、焼きとんの「戎」に向かう。
南口の本店はまだ正月休みで、北口店に回った。
店内はほぼ満席の大盛況だ。
この日が仕事始めという会社が多いのだろう、
仕事帰りの客がほとんどだ。
若いカップルも少なくないが
勤め人なのかフリーターなのか、
はたまた遊び人なのか、なかなか見当がつかない。

大黒戎なるヨソでは見かけない酒を燗で頼み、
焼きとんは、レバ・ハツ・シロとお願いすると、
何と、そのすべてが売り切れ。
カウンターのアンちゃんの応対もかなりぞんざいだ。
少々ムッとしながらも仕方なく、
かろうじて残っていたタン・カシラ・ナンコツを。

串から炭火の香ばしさが立ちのぼるが、
もつ本体の旨みはもうひとつ。
荻窪の「鳥もと」、吉祥寺の「いせや」同様に
中央線沿線は焼きとん屋が多い割りにレベルは低い。
下町の、それも隅田の川の向こう側、
曳舟や向島あたりには遠く及ばない。
煙りもうもうのせいでジャケットに匂いまで染みついた。

別の日に前々から気になっていた
「J.T.SPICE」を訪れるため、再び西荻の街へ。
この店の料理は様々な国のエッセンス漂う無国籍。
日本酒の取り揃えが豊富な上に
ワインもシチリアのドンナフガータや
南アフリカのKWVなどお求めやすい価格のものが
並んでいたが、この夜は焼酎でいくことにする。

八千代伝・黒に始まり、超・不可羅王に移行した。
つまみはまず、ベトナム風春巻きと海老フライ。
そしてミニのキーマカレーを焼酎の肴とする。
料理は旦那さん、接客は奥さんの二人三脚だ。
ピッツァが評判らしいので、マルゲリータと
クアトロ・フォルマッジョのハーフ&ハーフをお願い。
丁寧にこしらえてあるから、何を食べてもハズレがない。
レストランとしてもワインバーや焼酎バーとしても
気軽に使える便利な店が西荻にまた1軒増えた。

 
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2008年2月1日(金)

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