「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第419回
「EDOYA」のポークソテー

東京の真ん中の田舎町だった麻布十番に
2本の地下鉄が開通して久しい。
六本木ヒルズのお隣りということもあり、
最近は田舎町もずいぶん都会的になってきた。
今では都内有数の遊べる街に生まれ変わった。
とりわけ日曜・祝日でも
ダイニング・スポットに困らないのが強みだ。

かれこれ四半世紀も前のことだが、
まれに麻布十番を訪れたものだった。
目当ては古くから評判の焼肉店「三幸園」と
昭和29年創業の洋食店「EDOYA」の2軒。
とりわけ「EDOYA」では様々な料理を味わってきた。

ハンバーグとオムライスが店の自慢料理ながら、
一番の気に入りは冬場のかきフライ。
かきフライは銀座「煉瓦亭」と
有楽町「レバンテ」にトドメを刺すものの、
「EDOYA」もかなりの水準に達している。

日本各地の貝塚から、かきの貝殻が大量に出土して、
昔から盛んにかきが食べられていたことが判る。
当時どのようにして食べられたのか定かではないが
フライでなかったことは確かだろう。
かきフライを発案した「煉瓦亭」の斬新さに
あらためて拍手を送りたい。

ある土曜日の正午。
同じ麻布十番の洋食店「ミスター・ガーリック」を
訪ねてみると、どうしたことか臨時休業。
2日前の木曜日に、わざわざこの日の営業を
確認しておいたのにこの有様だ。
変わり者のオヤジさんが独りきりで
切り盛りする珍店はこういうことが
突発的に発生するから、客はたまったものではない。

仕方なく「EDOYA」に迂回してはみたものの、
前夜に柳橋の「大吉」でかきフライや
かきグラタンを食べたばかり。
さすがにかきには食指が動かず、
この日はエスケイプ・フロム・ザ・オイスターズ。

熟慮の末、いまだ未食のポークソテーに
白羽の矢を立てると、はたしてこれがクリーンヒット。
豚ロース肉厚切りの外はこんがり、中はしっとり。
上々の焼き上がりに頬もゆるむのだった。

ここで思い出したのは上野のとんかつ店「双葉」。
「EDOYA」のポークソテーは
「双葉」のロースカツのごとくに
脂身がほとんど除去されていて
ちょいともの足りなさが残るほどのアッサリ仕上げ。
脂身を嫌う客が多いから、これも致し方ない。

付け合せにも手抜かりなく、
にんじん&いんげんが丁寧に作られている。
まさに出色のポークソテーであった。
かきフライは「煉瓦亭」に一歩譲っても
ポークソテーは「EDOYA」に軍配だ。
長いことこの店のイチ推しを
かきフライと心に決めていたが
この日、主役交代のドラマが生まれることとなる。


【本日の店舗紹介】
「EDOYA」 http://r.gnavi.co.jp/a867700/

 
←前回記事へ

2008年2月8日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ