「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第424回
「椿三十郎」のあとの鮟鱇鍋(その2)

錦糸町で観た森田芳光監督の「椿三十郎」に
昨日のコラムでは小言ばかりを連ねた。
同じ脚本を使うのなら
前回以上のスタッフが望まれるのに
どうしてももの足りなさが残ってしまう。
カラー映像になったことで
咲き乱れる紅白の椿が
一段と美しさを増したのは何よりだった。

肝心の織田三十郎を
三船三十郎と比べてみる。
これも比べてはいけないのかもしれない。
かたや国際的大スター、
こなた国際陸上の司会者では
役者の器(うつわ)が丸っきりちがう。
それでも健闘のあといちじるしく、
役作りもちゃんとできていた。
ただし少々ニヤケすぎだよ、織田ちゃんは。
それでも総じて想像以上に楽しめた。

さてさて鮟鱇鍋であった。
映画を観終わり、エレベーターに乗ったが
うっかり乗り過ごして地階に到着。
錦糸町楽天地の地階にはスーパーの西友がある。
10年ほど前に短期間ながら、錦糸町に住んだことがあり、
その頃は確か錦糸町西武だったと思うが
ずいぶんお世話になった。
懐かしさに誘われ、ついフラフラと店内に・・・。

見覚えのあるフロアを一回りしてみれば、
どうしても鮮魚売り場で足がとまる。
精肉を眺めていても面白くはないが
鮮魚は見ていてあきない。

鍋ものシーズン真っ盛りとあって
ふぐや真鱈や真鯛の鍋用切り身がズラリ並んでいる。
見るからに新鮮な鮟鱇も肝付きで売られていた。
これを見てひらめいた。
「そうだ、今夜はウチで鮟鱇鍋にしよう!」

大好物の鍋は何といっても真鱈のちり鍋だが、
この日は鮟鱇に惹かれた。
その代わり、鱈はタラでも、たら子を買い求める。
これは真鱈ではなく、助宗鱈の内子。

あとは何か箸休めにと、店内を物色した挙句、
崎陽軒のシューマイの一番小さい箱にする。
このシューマイはNHKの番組のロケで
ブルートレインに乗ったときに横浜駅で
買って以来だから、ちょうど10ヶ月ぶりだ。

ちり鍋にはあまりゴチャゴチャ入れない主義。
通常は主役のサカナのほかに
木綿豆腐・長ねぎ・青モノであることが多い。
青モノは春菊だったり、せりだったり、
みぶ菜だったり、クレソンだったり。
この夜は目先を変えてルッコラにしてみた。

日本酒を切らしており、泡盛のロックとともに
鮟鱇のちり鍋をポン酢で存分に楽しむ。
薬味は大根おろし・きざみねぎ・すだち。
久しぶりの自宅にての鍋を堪能したが
やはり鮟鱇よりも真鱈がいいな、とあらためて思う。
ほどよく塩の利いた真鱈を使った鱈ちりは
まさに日本の冬の風物詩。
サカナ偏に雪と定めた先人のセンスに拍手を送りたい。

 
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2008年2月15日(金)

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