「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第426回
光り輝く三つ星 〜「庶ミンシュラン」〜より

昨日の「文豪の味を食べる」に引き続き、
今日も同じく新著の「庶ミンシュラン」のご紹介。
奇妙なタイトルは「庶民のためのミシュラン」に由来する。

先般、売り出された「ミシュランガイド東京」は
庶民とは無縁の高級店のオンパレード。
そうやすやすとは足を運べぬ店ばかりが並んでいる。
かくして東京レストランガイドの
エコノミークラス版を作ろうと思ったことだった。

「庶ミンシュラン」には最高の三つ星から
無印までの全226軒が収められている。
今日は12軒ある三つ星の中から
「弁天山美家古寿司総本店」と
「宮川本廛」の2軒を紹介する。

「弁天山美家古寿司総本店」
 東京を代表する鮨の名店。
J.C.はこの店で江戸前鮨に目覚めた。
ときに1978年、隅田川の花火が復活を遂げた年のこと。
目覚めさせてくれたのは先代の四代目親方。
柔の四代目に対して、当代は剛の五代目。
野球選手に例えれば、イチローと松井ほどの違いがある。
 この店の鮨種から三つ選ぶとすると、
穴子・小肌・平目昆布〆に落ち着く。
殊に沢煮で仕上げた穴子は白眉。
とろとろと溶けてなくなる離乳食みたいなのはこちらから願い下げ。
プリプリとした弾力を持つ穴子の特性を十二分に活かしている。
目からウロコが落ちること請け合いだ。
 江戸前の粋、小肌も負けてはいない。
かすり模様も鯔背なにぎりをちょいとつまめば、
酢と塩のおかげで生命を与えられた江戸湾の小魚が
口中狭しと躍動する。
 ここで鮨屋の表看板のまぐろだ。
霜降りにした赤身のヅケはにぎりもさることながら、
みょうがをあしらったヅケ丼が捨てがたい。
シゴトを施された良質なサカナを前にして杯を重ねたくなるが、
「弁天山」では何を差し置いてもにぎりを満喫するに限る。
 おすすめ・・・穴子

「宮川本廛」      
 東京のうなぎの最高峰が、
世界の魚市場の最高峰・築地中央卸売市場の近くにある。
地番は同じ築地でも場内のある5丁目と
「宮川本廛」の1丁目では、歩くと10分は掛かる距離。
 魚河岸に出掛けたら、場内外の鮨屋で食べたくなるのも人情だが、
あえてJ.C.はこのうなぎ店を強く推す。
なぜか?
築地にあふれる鮨屋の中にあって、
本物の鮨屋は数軒にすぎないからだ。
その優良店さえも銀座や浅草に出張ってみれば、
末席を汚すほかはない。
築地は江戸前鮨の不毛の地かもしれない。
 振り返って「宮川本廛」のうなぎは本物の中のホンモノ。
割き・串打ち・蒸し・焼き、手抜かりのない仕事を施され、
どんぶりの中で艶っぽく照り染めている。
どんぶりの器がポイントで、
わがもの顔の重箱よりも、
どんなにうなぎを美味しくいただけることか。
どんぶりと重箱を選べるので、ぜひ、どんぶりを試されたい。
 「築地は遠くて・・」
―こんな無精者は銀座松屋のレストラン街へどうぞ。
本廛には及ばぬが、支店でもじゅうぶんに納得がいく。
 おすすめ・・・うな丼(イ)

昨日から読者プレゼントの応募をいただいている
「文豪の味を食べる」と同時に
この「庶ミンシュラン」も1週間後には
書店の店頭に並んでいるものと思われます。
こちらも後日、プレゼントを実施いたしますので
しばらくお待ちください。

 
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2008年2月19日(火)

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