「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第427回
この豚丼 あのソースカツ丼

都営新宿線・菊川駅前の交差点に
ドハデな看板を見つけた。
見つけたというより、向こうのほうから
勝手に視界に飛び込んできたというのが正しい。

「この豚丼 あのソースカツ丼」というのが
そのまま店名になっている。
北海道は帯広名物の豚丼と
北陸は福井名物のソースカツ丼を
二枚看板として前面に打ち出した専門店である。

豚丼は帯広の専売特許で
いつぞやは日本橋三越のフードフェアで
確か元祖を名乗る「ばんちょう」のものを
食べた記憶があるが、ちっとも美味しいと思わなかった。
道産子はあんまりいいモン食ってないなぁ、という印象。

一方のソースカツ丼は福井に限らず、
北陸なら新潟あたりでも幅を利かせている様子。
東京の水道橋にも小さな店ながら
「新潟カツ丼タレカツ」が暖簾を掲げていたりする。
秩父地方でもポピュラーなようで
寄居の駅前の食堂で初めてお目に掛かったのが
かれこれ四半世紀前のことだ。

若い頃から何度か食べているせいか
豚丼よりもソースカツ丼になじみが深いし、
食味的にも気に入っている。
豚肉は生姜焼きやポークソテーにしても美味しいが、
やはりベストはとんかつだろう。
そのアレンジ版のカツ丼がまずいワケがない。
加工品となると、もう豚肉の独壇場で
ハム・ソーセージ・ベーコンは
牛肉や鶏肉が太刀打ちできるものではない。

菊川のその店であった。
看板を見かけてから気になって仕方がなかったので
ある平日の正午すぎに出向いてみた。
店内の雰囲気は「吉野家」や「松屋」のように
カウンターのみのチェーン店風。
おそらくここも当たればチェーン展開してゆくのだろう。
営業は順調のようで2006年4月に開店後、
翌年の2月には2階の居酒屋を吸収して店舗を拡げた。

「この」と「あの」で迷った挙句、
その日は「この豚丼」にしてみる。
スタッフは帯広丼と呼んでいた。
「吉野家」の牛丼が注文してから
1分と経たずに現れるのに対し、
ここの豚丼は12〜3分は掛かったのであるまいか。
かき入れ時の12時チョイすぎにもかかわらず、
それほど立て込んでいる気配はない。
このあたりがこの店の将来に
与える影響は小さくないハズだ。

肝心の豚丼に使用される肉はメニューには
カルビと明記されているものの、
実際は三枚肉、いわゆるバラ肉だった。
小さめのミニ丼(400円)でお願いしたが
そこそこのボリュームがあり、
女性にはこれでじゅうぶんだろう。
3センチ四方の肉片が11枚も入っていた。

どこの国から輸入された豚肉だか存ぜぬけれど、
わかめの味噌汁も付いてこの値段なら文句はない。
それでも近いうちに、あのソースカツ丼のために
再訪するかというと、それはまた別のハナシ。

 
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2008年2月20日(水)

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