「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第432
市川崑の冥福を祈る (その1)

市川崑監督が逝った。
彼の映画はかなりの本数を観ている。
初めて観たのは「東京オリンピック」。
記録映画か芸術性かで一悶着あった
いわくつきの映画だったが
スポーツニュースではないのだから、あれでよかった。

イチャモンをつけた大物政治家も
海外で評価が高まるやいなや、
手のひらを返したようにおとなしくなってしまい、
あれでは総理大臣になりそこねるワケです。
親の因果が子に報いで
息子のほうもとうとうなれなかった。
J.C.は息子のほうの実直な性格も
親を思うそのまた息子の真心も好きですけれど・・・。

市川崑の作品中、もっとも好きな映画は「雪之丞変化」。
「東京オリンピック」の前年に撮られたものだ。
手前ミソで恐縮ながら、この映画と長谷川一夫の詳細は
近著「文豪の味を食べる」の218ページをご覧ください。

たまたま2月8日から3月7日まで
神保町シアターにおいて市川崑の特集が組まれている。
すでに何度かアシを運んでいて
「こころ」・「鍵」・「ぼんち」などを観た。
これからも「吾輩は猫である」・「破戒」・「細雪」・
「犬神家の一族」・「悪魔の手毬唄」などを観るつもり。
そしてもちろん「雪之丞変化」も。

とにもかくにも、市川監督のご冥福をお祈りしたい。
今日まで、いやこれからも
数々の名画を楽しませてくれることに心より感謝したい。
抜け落ちた前歯に1本のキャメルを差し込んだ
ユーモラスな風貌を忘れることはないだろう。

今回の特集のおかげで
普段からひんぱんに出没する神保町に
よりいっそうアシを向けることと相成った。
したがって昼夜を問わずに劇場の界隈で食事をしたり、
酒を飲んだりする機会が増えた。
今日と明日はそのうちの数軒を紹介しよう。

吉田茂の長男の吉田健一がひいきにした「ランチョン」
駿河台下の「ローターオクセン」が「放心亭」に
意匠を替えてしまったので
現在ではこのエリアに残る唯一の
本格的ビヤホールと言っても過言ではない。

明治末期に洋食屋として開業しているので
品書きにはフライやソテーが並んでいるが
ロシア料理を思わせるキャベツの重ね焼きや
ピクルスも顔を見せている。
冬場にはかき料理も多種多彩となる。

その夜はアサヒの生中を一気にあおったあと、
2杯目をお願いしておいて
ランチョン風ポテトをまず注文。
スライスしたじゃが芋を小海老やチーズとともに
オーヴンで焼いたものだ。

ポテトを肴に2杯目を飲み干し、
3杯目と一緒にメンチカツを頼んだ。
食べ応えじゅうぶんの肉汁あふれるメンチには
ポテトとマカロニを合わせたサラダが添えられる。
ビヤホールに来たら、ビールで通すことがほとんどで
おのれのビール好きを再確認するのは毎度のことだ。

            =つづく=

【本日の店舗紹介】
「ランチョン」
http://www.gourmet.ne.jp/Luncheon/

 
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2008年2月27日(水)

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