「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第438回
金ピカ先生と食べる下町の天丼(天丼三連荘・その1)

今日から天丼シリーズ三連発をお送りする。
3日続けて食べたワケではないが、
1週間ほどで3つの天丼を食した。
今日はその第一日目。

かの有名な金ピカ先生からメールが舞い込んだ。
数年前に浅草のとある店で偶然に遭遇して以来のことだ。
たまたまこのコラムをヒットする機会があって
編集部経由でレンラクをとることができたとおっしゃる。
それでは食事でも、ということになり、
後日、雷門で待ち合わせ。
田原町にほど近い「あかし」の暖簾をくぐると、
カウンターに居合わせたオバさま3人が
こちらを振り向き、そのうちの一方が
「ごはんがもうないんですってヨ!」と一言。
ときに13時10分だった。
われわれは冗談だろうと思って席に着こうとすると
そのオバさまが再び、「ホントにないんですヨ」。
揚げ場の職人さんに顔を向けると
おニイさんが無言でうなずく。
奥から出てきた店主も「もう、なくなっちゃって」。
こんなに早い時間にごはんが売り切れとはいかに?
ハナからあんまり炊いていなかったようだ。

それにしても「せっかく来ていただいたのにすみません」の
一言がなせ言えぬ!
結局、店側からの謝罪の言葉はまったくナシ。
今週から書店の店頭に並び始めた「庶ミンシュラン
(ただいま読者プレゼントご応募受付中)では
一つ星を進呈してしまったが
この接客ぶりだけは直ちに改善してもらわねば。

あわれ意中の天ぷらにフラレた金ピカとJ.C.は
近所の「多から家」に向かったのだった。
ごま油で揚げる江戸前天ぷらの店である。
つい最近、店先に張り出された冬の天丼(1500円)の
写真を目にして舌なめずりをしたばかりだった。

待望の冬の天丼の内容は
海老・はぜ・真鱈白子が1つずつに、わかさぎが2尾。
堂々たる陣容を誇っている。
初夏の稚あゆほどではないにせよ、冬のわかさぎも美味だ。
白子もオーソドックスなポン酢で食べるより、
天ぷらやバタ焼きや煮付けのほうが好みに合っている。
多大なカロリー摂取を禁止されている金ピカ先生は
軽めのB天丼(900円)を召し上がった。
禁酒している彼にならい、こちらもビールを自重する。

お互いに天丼を半分ほど食べ進んだとき、
店主からお声が掛かった。
「失礼ですけど、金ピカ先生ですよね?」
やはり有名人は違うな、と感心していたら
何と店主は代々木ゼミナール時代の教え子だった。
「あかし」にごはんが残っていたら
一生出会えなかったかもしれない2人。
これだから人生は面白い。

それから2週間後。
「多から家」に再び金ピカとJ.C.の姿を見ることができた。
此度はカウンターに陣取り、お好みで揚げてもらう。
蛍いか(香ばしい)・稚あゆ(この時期にあった)・
ぎんぽ(あまりに美味しくてお替わり)・
まぐろ尾の身(意外にイケた)・梅しそ巻き(恰好の箸休め)・
穴子(やはり締めはコイツ)と食べ継いで大満足。

帰る道すがら、ともに新仲見世を歩み、
再会を約して手を振ったのは吾妻橋のたもとであった。

 
←前回記事へ

2008年3月6日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ