「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第441
うなぎ屋で 鯛とまぐろを 楽しむ

花の銀座にうなぎ屋はきわめて少ない。
真っ当なそば屋もけして多くはない。
たくさんあるのはなんといっても鮨屋だ。
超有名店の「すきやばし次郎」や「久兵衛」のように
昼も営業する鮨店もなくはないが7、8丁目界隈では
クラブの同伴とアフターを当て込み、
昼は開けずに夜の商売に徹するところがほとんどだ。

銀座では貴重なうなぎ屋さんの中にあって
8丁目の新橋寄りに本店を構える「竹葉亭」は
先頃発売された「ミシュランガイド東京」でも
うなぎ店としては唯一の一つ星を獲得した。
高級お座敷うなぎ割烹では赤坂の「重箱」が有名だが
あちらは接客に大いに問題がある。

自著「庶ミンシュラン」では
「竹葉亭銀座店」に三つ星を付けさせてもらった。
敷居の高い本店に比べ、気軽に利用できる庶民性がよい。
うなぎ自体は、築地の「宮川本廛」や
明神下の「神田川本店」を凌駕するものではない。
ところがここには真鯛という強力なバイプレイヤーがいる。
そしてまぐろもまた、一役買っているのである。

うなぎを王将とするならば、
真鯛が飛車で、まぐろは角の役割を担っている。
まず真鯛のかぶと煮とかぶと焼きがともに秀逸。
鯛茶漬けが人気メニューなので
真鯛の身肉を大量に消費するため、かぶとが余るのである。
したがって良心的な価格での提供がありがたい。

まぐろ茶漬けも鯛茶漬けに負けず劣らずの名品。
鯛か、まぐろか、悩むのは毎度のことなれど、
かぶとをすでにいただいているから
7割方はまぐろをチョイスする。
さすがに大魚のまぐろを丸々1尾、
仕入れることはないから、まぐろのかぶとはない。
それだけにここのまぐろ茶漬けは
ついつい注文してしまう。

ごまを合わせた醤油ダレにわさびと針海苔のいい香り。
まぐろの赤身にはほどよい旨みがまとわりついていて
これをいきなり茶漬けにしてはもったいない。
まずは1本の銚子の肴とし、
続いて1膳の白飯のおかずとし、
最後にサラサラとお茶漬けで締めるのが
まぐろ茶漬け、通称まぐ茶を楽しむ最良の方法なのだ。

「竹葉亭銀座店」はつまみ類の品揃えも実に豊富。
しかも、うなぎモノに固執しないところがよろしい。
子持ちわかめと野菜煮(炊き合わせ)は
「行ったら頼む」の2品として
もはや定番化してしまった。

そんな優良店にもウイークポイントはあるもので
王将・飛車・角・桂馬・香車は万全なのだが
金将・銀将がいささか頼りない。
何が一体。金・銀なのかというと
天ぷらと弁当あたりでしょうかねぇ。
世の中はこういうものなのかもしれない。
金と銀にも頑張られちゃ、店が混み合ってしまい、
どうにも収拾がつかないことになろう。


【本日の店舗紹介】
「竹葉亭銀座店」
http://r.gnavi.co.jp/g201101/

 
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2008年3月11日(火)

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