「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第447回
「資生堂パーラー本店」の舌平目

庶ミンシュラン」読者プレゼントに
ご当選の方々にお知らせです。
おかげ様で売れ行き好調のため、
ただいま重版を急いでおります。
刷り上るのが今月26日頃の予定で
発送はそれ以降となります。
どうぞ、今しばらくお待ちください。

さて、「J.C.のイチバン好きなサカナは何ですか?」
こう問われると、簡単に即答はしかねる。
料理の仕方やジャンルによって微妙に異なるからだ。
それぞれに検証してみると

鮨屋 ――― 小肌・平目・かつお
天ぷら屋 ――― ぎんぽ・穴子
割烹 ――― あゆ・皮はぎ・甘鯛
定食屋 ――― さんま・かれい
居酒屋 ――― ししゃも・ほっけ
鍋料理 ――― たら・あこう鯛
中華料理 ――― はた・あいなめ
イタリアン ――― かさご・すずき
フレンチ ――― 舌平目・えい・的鯛

こんな風になる。
魚介はほかにも甲殻類や貝類はみな好き。

今日は和食であまりお目見えしない舌平目のハナシ。
主として黒舌平目・赤舌平目の2種類があり、
牛の舌、クツゾコと呼ばれるのも舌平目の仲間だ。
このサカナはフランス料理の最重要魚種の1つ。
フレンチにおけるサカナの四天王は
舌平目(ソール)・平目(テュルボ)・
すずき(バール)・赤ひめじ(ルジェ)と
いったところに落ち着こう。
すべて良質の白身を持つサカナたちだ。

舌平目はその中でも最高峰に位置する。
ドーヴァー海峡のドーヴァー・ソールが殊に有名だ。
欧米の高級フレンチやイタリアンでは
これを仕入れておくのがステイタスとさえなっている。
サカナは苦手だがソールならOKという人も少なくない。
フレンチには相当な数のレシピが存在していて
ソール・ボンファム(舌平目の良妻風)が
世に広く知られている。
個人的には素焼きやムニエルが好みだが
パリのブラッスリーで出されるムニエルは
バターの使いすぎがシツッコく、気に染まない。

銀座8丁目の「資生堂パーラー本店」を
昼に訪れたときには蟹クリームコロッケか
舌平目のムニエルをいただくことが多い。
ライスのときにはコロッケ、
パンならばムニエルという風に食べ分けている。

この店のムニエルは骨を外した身を
2つに折りたたんで、ふっくらと焼き上げ、
焦がしバターで食べさせて秀逸。
付け合せの野菜ブイヨン煮も多種多彩、
いかにも女性好みの一皿に仕上がっている。
「資生堂」のシックな空間の中、
独りつつましやかに舌平目を
口元に運ぶ女性は傍目にも実に上品。
おのずから、貴婦人のように見えてくるから不思議だ。


【本日の店舗紹介】
「資生堂パーラー本店」
東京都中央区銀座8-8-3東京資生堂ビル4&5F
03-5537-6241

 
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2008年3月19日(水)

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