「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第461回
頑固オヤジは 健在なれど

麻布十番のお寺でとり行われた
友人のご尊父の告別式に列席した帰り、
ちょうど時刻も昼めしどきとあって
はてどこで食べたものかと、独り思いをめぐらせる。

候補に挙がったのは
「更科堀井」の季節の変わりそば、
「ふじや食堂」の焼き魚定食、「畑中」の天丼、
「三幸園」のカルビ定食といったところだが、
突然「ミスター・ガーリック」の頑固オヤジの顔が
まぶたに浮かび、昼はあまり期待できないと思いつつも
殺風景なビルの階段を降りていったのだった。

12時ちょい過ぎに重い扉を開けると先客の姿はなく、
くだんのオヤジさんが奥のテーブルで週刊誌を読んでいた。
巻末のグラビア記事を虫眼鏡で追っているしぐさが可愛い。
せいろそばの写真がチラッと目に入ってピンときた。
こいつは週刊ポストに違いない。

1200円のハンバーグ定食をお願いする。
てっきりオヤジさんが料理をするのかと思いきや、
キッチンに立つのはずっと若いお兄さん。
御大は厨房を出て接客に従事している。
最初に箸と紙ナフキン、しばらく間を置いて
きゅうりのぬか漬けとたくあんが運ばれた。

店内に飾られた花の写真を眺めているうち、
ほどなく焼き上がったハンバーグには
酢油キャベツとマカロニサラダが添えられている。
マカロニは穴の開いたそれではなく、
フジッリと呼ばれるねじりん棒状のパスタを
使ったもので、ゆで玉子入り。
あとは油揚げと豆腐の味噌汁に
小さめの茶碗にこんもりと盛られたごはん。

ハンバーグはそれ自体もソースもずいぶんと塩辛い。
挽き肉の感じは悪くなく、
デミグラではない和風ソースが特徴的。
味噌汁はかなり化学調味料がきつい。
炊き立てでホカホカと湯気の立つごはんが上々だから
ほかの欠点には目をつむることにした。

卓上には塩・胡椒と中濃ソース、
七味唐辛子にパルメザンチーズ、
丸大豆の醤油はレギュラーと減塩の2種類、
そして爪楊枝がところ狭しと並んでいる。
なんだか時代遅れの洋食屋といった景色だ。

それにしても客がほかに誰も居ないというのは
あまり居心地がよいものではないなぁ、
と思った矢先に若者2人が入店してきて
そのあとからは中年男性が単独で来店。
なんとなくホッとした気分。
この日のランチはハンバーグと
牛肉のコロッケの2種類だけだったが
3人ともコロッケを注文。
どうやらJ.C.はハズレのほうをつかんだのかもしれない。

庶ミンシュラン」では期待値もこめて
二つ星の高評価を与えた店ながら、
当日のハンバーグでは一つ星も難しい
こいつは近々夜に再訪しなければならないぞ。
大勢で押し掛けていろいろな料理を
試してみる必要性を強く感じるJ.C.であった。
そのときにゃ、頼んますよ、オヤジさん!


【本日の店舗紹介】
「ミスター・ガーリック」
 東京都港区麻布十番1-8-5パステル麻布B1F
 03-3583-6769

 
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2008年4月8日(火)

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