「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第471回
裁判所で独りランチ

金曜日だというのに朝から
所用のために霞が関におもむく。
用事を片付けて、腕時計を見ると11時50分。
ちょうど昼めしどきである。
晴れていれば、日比谷公園のレストランで
緑に囲まれながらの昼食となるところだが、外は生憎の雨。
しかもかなりの雨足ではそれもかなわない。

霞が関には何本もの地下鉄が通っているから
どこへ行こうと思いのままではある。
と、このとき雷の如くにピカッとひらめいた。
そうだ、この殺風景な官庁街で食べるのも悪くないぞ。
居合わせた家庭裁判所の地下にある食堂に向かう。
こういう場所で食事をするのは始めての経験で
興をそそられるものがある。

正式名称は「東京家庭裁判所内食堂」。
運営するのはエームサービス株式会社。
入り口にサンプルが並んでいる。
サンプルといってもみな本物だ。
気持ちがホッケの開きの焼き魚定食に傾きかかったが
気を取り直して注文したのは塩ラーメン(370円)・
半チャーハン(110円)・冷奴(70円)の3点。

ラーメンは醤油・味噌・塩の日替わりローテーション。
当日は「塩の日」だったわけだ。
と思いきや、翌週の献立表に目を通すと
白湯麺というのがあったりもする。
想像するにこれは豚骨ラーメンのことらしい。
鶏ガラも高温でジックリ煮出せば白湯(パイタン)になるから
豚骨と鶏ガラの合わせ技かもしれない。

塩ラーメンには大きめの海苔が1枚にシナチクと
きざみねぎだけで、チャーシューの姿はどこにもない。
370円ですもんね、肉抜きも致し方ないですね。
中太ちぢれ麺はしばらくの間、
コシも失われずに、なかなかの食感。
予想より美味しく食べることができた。
一昔前まで社食・学食のラーメンはヒドいものだったが
最近は格段によくなっているようだ。
製麺技術が長足の進歩を遂げたのだろう。
スープはいかにも出来合いのスープの素使用という感じ。

半チャーハンはいただけなかった。
チャーハン・焼きめし・ピラフに
共通の香ばしさがこれっぽっちもない。
ライス自体は炒まっているものの、
悲しいくらいに風味に乏しい。
具はハムとナルトと玉子。
ハハ〜ン、これはイケませんや、肝心のねぎが不在だもの。
チャーハンの命は何と言っても
焦げるほどによく炒めたねぎなのですよ。
周りを見回すと若い男性はみなチャーハンに
卓上の醤油やソースを掛けている。

この日、いただいた3品の中で一番よかったのが冷奴。
パックの絹ごし豆腐を切って並べただけのものながら
意外にも薬味がしっかりとしていた。
チャーハンには入らなかったねぎが奴にはたっぷり。
おろし生姜もじゅうぶんな量で、花がつおも散っている。
半チャーハンには失望したが
値段が値段だから、情状酌量の余地がある。
そして何よりも冷奴が真っ当であったため、
本日のランチに対する判決は
「逆転無罪」を言い渡すとしよう。

 
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2008年4月22日(火)

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