「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第478回
金目鯛に舌鼓

ここ数年、グルメ度がグーンと
上がった感のある祐天寺。
中目黒からでも目黒商店街を突き抜けて行けば、
徒歩15分ほどの距離にある。
恵比寿や代官山から歩くのも
手頃な散歩コースではあるまいか。

鮨やフレンチの優良店を擁する祐天寺に
地元で人気を集める中華料理店「菜香」がある。
厨房で調理するのは店主夫妻、
接客担当は身内かどうかは判らぬが娘さんが一人。
きわめて家庭的な雰囲気に包まれた店だ。

夜な夜な近隣の家族連れが集まってくる。
週末ともなれば、訪れる客も早仕掛けとなって
夕方の6時頃にはほぼ満席。
予約ナシでやってきて席にありつけない
可哀相な客も1組や2組ではない繁盛ぶりだ。
こんないい店は近所の常連さんだけに
占有させておくのはもったいない。
遠くから出掛けて、悔いの残らない佳店である。

その夜の飲みものは
サッポロの黒ラベルと甕出しの紹興酒。
手っ取り早いつまみとして
ピータンと腸詰を即座にお願いした。
このピータンが半熟タイプの逸品で
ビールにもバッチリながら
紹興酒にはことさらによく合う。
アヒルの卵黄のコク味が舌の上に拡がる。
ちょいと甘みの気になる腸詰には
白髪ねぎがよいアクセント。
これまたビール・紹興酒の合いの手として
じゅうぶんに役割をはたしてくれた。

お次は早くも本日の主役の登場。
金目鯛の清蒸が蒸し上がった。
白身のサカナの料理法としては
広東風の清蒸が世界でイチバンではなかろうか。
この料理には何と言っても磯魚のハタがベスト。
金目鯛や真鯛、あるいはアイナメも捨てがたい。

真鯛ほど骨に注意する必要とてない金目は食べやすい。
しっとりとした身肉には繊細な滋味が蓄えられて
香菜や白髪ねぎの風味と絶妙の相性を見せる。
サカナのエキスいっぱいの醤油タレを
白飯に掛けて味わうことも忘れてはならない。
これだけでごはんを茶碗に3杯も食べる人がいる。
肝心のサカナそっちのけで
汁かけごはんに没頭するマニアもいるくらいだ。

続いては岩手産豚スペアリブの豆鼓炒め。
色鮮やかな赤と緑のピーマンがあしらわれ、
食欲を誘ってくれたが味はともかく、
骨離れが悪いために四苦八苦を余儀なくされた。
両手・唇が脂でギトギトだ。
豚肉と野菜入りの焼きそばで締め、
2人で9000円ほどのお勘定に不満はまったくない。

腹ごなしに目黒方面に向かって歩く。
途中、馬喰坂なる眺めのよい坂にさしかかった。
高層ビルの明かりが霧に遠くかすんで美しい。
坂上の傍らで4基の庚申塔がこちらを見つめている。
一番古いものは延宝8年(1680年)の建立だという。
やがて到来する悲劇を知るよしもない内蔵助と
内匠頭が平穏な日々を送っていた時代のことである。


【本日の店舗紹介】
「菜香」
 東京都目黒区中町2-38-2
 03-3711-5350

 
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2008年5月1日(木)

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