「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第477回
ビーフばかりがステーキじゃない!

先週の金曜日の当コラム(474回参照)で
銀座の旭屋書店の閉店にふれた。
やはり最終営業日の25日は気になって
夕闇迫る数寄屋橋に出掛けていったのだった。
お世話になったこの店での最後の買い物は自著2冊。
その夜、久しぶりに会う昔の同僚の
Dサンにプレゼントするためでもあった。

その474回では有楽町ガード下のイタリア料理店もどき、
「サンレモ」が「パレルモ」に改名したことにもふれた。
すると偶然に友人の金ピカ先生から
以下のようなメールが舞い込んだのだった。
笑えるハナシなので、そっくりそのまま紹介する。

昭和44年、オヤジと日比谷映画館で007見た帰りに
サンレモ(Jの浅草本に引き合いに出てた)でナポリタンを。 
皿の横に千切りキャベツ。
テイブルのタバスコをケチャップかと思ってオヤジと2人でかけた。
食べたら辛くて驚いてナポリタンにキャベツ混ぜて食ったよ。
もう1点はウィンナコーヒーって
ウィンナソーセイジが付いて来るんだと当時思ってた。

のちのカリスマ予備校講師も
このころはひょうきん族の一員だったことがよく判る。
タバスコなんざ、普通の神経の持ち主は
取りあえず少量とってみて
味を確かめてから使うもんでしょうが・・・。
ウインナコーヒーの一件は判らないことはないが
大人の飲み物のコーヒーに
子どもの弁当のおかずが添えられてもねぇ。
いずれにしても、よく笑わせてくれるヤツだ。

しかしメールをもらって驚いたのは
この時点で金ピカは「サンレモ」にふれたコラムを
まだ読んでいないこと。
彼からのメールが届いたときに
原稿はQさん編集部に送ってあったけれども
アップされる前なのだった。
他愛のないことながら、奇遇と言えよう。

ウインナコーヒーのハナシで思い出したが
J.C.にも似たような経験がある。
ちょうど高校三年の夏のこと。
小遣いに不自由していた同級生仲間が数人揃って
今はなき銀座の高級西洋料理店、
「コック・ドール」を訪れたのだった。
松本清張の「点と線」にも実名で登場する名店だが
どこにそんな金があったのか不思議でならない。

とにもかくにも、こういう場所は初めての経験。
少年たちは一様に緊張していたのだった。
注文品は1人を除いて、みな一番安いポークカツレツ。
そのとき大勢に逆らった天の邪鬼が
オーダーしたのはサーモンステーキだった。

およそ20分後、運ばれ来たるカツレツに
嬉々としてナイフを入れる無垢な少年たち。
ところが1人、意気消沈しているヤツがいた。
何を隠そう、沈んでいたのは天の邪鬼のサーモン野郎だ。
訊けば、とんかつよりもビフテキが食いたくて
ステーキを頼んだのに、鮭が出てきてガッカリだという。
悲しいかな、サーモンの意味をまったく理解していない。
カン違いもはなはだしく、こういうのを
 カン違い コタツで母の 手をにぎり
という。
オマケにサーモン野郎のその日の朝メシは
塩ジャケだったというオチまでついた。
「バッカじゃなかろか!」と思いつつも
貴重な社会勉強をした裸の18歳の少年たちでした。

 
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2008年4月30日(水)

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