「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第480回
旧赤線地帯を散策する(その1)

愛読書に木村聡さんの「赤線跡を歩く」がある。
ちょうど1年前のGWにはこの名著をたずさえて
小田原の遊郭跡を訪ねたのだった。
あれから1年、今回は松尾芭蕉が
奥の細道の基点とした千住の地を歩いた。

日曜日には隔週でやってくるハウスキーパーに
家を追われたJ.C.は独り北千住に向かった。
これまでは浅草橋から浅草経由、
あるいは押上乗換え、はたまた秋葉原から
つくばエクスプレスなんぞで出掛けたものだが
ふと気が付いて新しいルートを発見した。
人形町にいったん南下して
日比谷線に乗り換えてみると、これがベストの方法。
乗換えがラクな上に時間的に早く運賃も安い。
これには目からうろこがポロリ。
北へ行くのにいったん南に下ってからUターンする。
「急がば廻れ!」を地でゆくケースだ。

何はともあれ、散策の前に腹ごしらえ。
10時開店の洋食店「ニューあわや」に
到着したのは10時半過ぎのことだった。
噂には聞いていたが、ユニークなことに
和菓子屋と洋食屋を兼ねている飲食店なのだ。
和菓子と赤飯・のり巻き・中華そば、
あるいは洋菓子に洋食というのは聞いたことがある。
ところがこんな和洋折衷は前代未聞であった。

ケースに並ぶ団子を尻目に入店すると
早くも若者2人がオムライスを食べている。
厨房にオジさんとお婆さんが背中を見せているが
こちらの「すみませ〜ん!」の声にはまったく反応ナシ。
2度ほど呼びかけて気付いてもらえず、
仕方なしに立っていくと
そこへもう1人オジさんが出勤してきて
やっとこさ注文を通すことができた。
店の雰囲気にピッタリの
カツカレーライスを頼んでみる。

店内の様子をなんと表現したらよいだろう。
レトロにしてキッチュ。
昭和30年代の東京下町にして
1950年代のニューヨークは
ブルックリンとでも言おうか、
当たらずとも遠からずだろう。

カツカレーは単品だと730円だが、
小サラダとドリンク付きのセットは850円。
メニューにも明記されている通りに
セットのほうがおトクだ。
これがカレーライスとなると
単品が600円で、セットが800円だから
値決めの法則が存在するのではないらしい。
おトクなセットの中にあっても
カツカレーセットがもっともおトクなのだった。

白い丸皿に盛られたライスの上に中ぶりのロースカツ。
その上から豚肉の小間切れ入りのカレールウ。
サイドには真っ赤っかの福神漬けが
「こんなには要らんやろ!」というほどにたっぷりと
何とも下町チックなのだった。
ベツにちっとも旨そうには見えなかったが
カツを1切れほお張って思った。
「おや、サクサクじゃないか、コイツは侮れないぞ!」

             =つづく=


【本日の店舗紹介】
「ニューあわや」
 東京都足立区千住1-21-9
 03-3881-4998

 
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2008年5月5日(月)

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