「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第490回
創業94年の喫茶店カレー

まだ確定したわけではないが
新著の企画が東京の優良ランチを
厳選しようというものになりそうなので
その下調べのために連日、
東京中を飛び回っている。

千代田・中央・台東・文京・新宿に加えて
江東・墨田の下町界隈はホームグラウンドにつき、
取捨選択にわずらわしさを感じることがない。
港・渋谷・目黒・品川・豊島あたりも組みしやすしだ。
やはり難関は都心区ではなく、郊外区にあった。
都心をぐるりと取り巻くようにある
大田・世田谷・中野・練馬・板橋・北・
荒川・足立・葛飾・江戸川区たちである。
中央線が区の中央を貫いている杉並だけは
交通の便がよく、ひんぱんに訪れるので問題はない。

その一環として板橋区のはずれの成増に赴いた。
この町は学生の頃に住んだことがあり、
ひときわ愛着のある土地である。
30年以上も前のこと。
ある日、駅前のパチンコ店で遊んでいて
昼めしの休憩で外に出たところ、
向かいに見慣れぬハンバーガーショップが開店していた。
よしず張りの掘っ立て小屋のような店だったが
厚切りのトマトが印象的なハンバーガーだった。
これが何と驚くなかれ、のちに急成長を遂げる
モスバーガーの第1号店だったのだ。

J.C.は開店日か翌日に
そこでハンバーガーを食べたことになる。
建て替えられた1号店はまったく同じ場所、
商店街に下ってゆく坂の左手に今も健在で
そこそこの繁盛振りを見せている。

その坂のドン突きに古い喫茶店がある。
店先ではタバコを商う1914年創業の「不二越」は
成増で一番古い喫茶店で現在も営業中。
30年前にタバコを買った記憶があるが
お茶を飲んだことは一度もなかった。

つい最近、成増キーマカレーなる一品が
「不二越」の名物と聞いた。
甘口ながらとてもおいしいという。
懐かしさも手伝って即刻、出掛けて行った。
さすがに創業100年になろうとする老舗、
店内の雰囲気に独特の味がある。
客筋はお年寄りばかりという情報だったが
若い女性が独りで休んでいたりもする。

キーマカレーは悪くなかった。
いや、おいしかったといってよい。
甘口のカレーライスは得意としないのに
独特の風味が際立つ印象的なカレーなのだ。
キーマと呼ぶほどに挽き肉を感じさせず、
シャッキリ感を残す玉ねぎがポイントで
油と好相性の茄子がアクセント。
これがドリンクとセットで900円。

食後のアイスレモンティーをゆっくりと味わい、
思い出深き町をあとにする。
ちょいとばかり歩くことになったが
弘兼憲史の劇画「ハロー張りネズミ」で
有名になった乗蓮寺の東京大仏を初めて拝んできた。

【本日の店舗紹介】
「不二越」
 東京都板橋区成増2-19-1
 03-3930-5758

 
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2008年5月19日(月)

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