「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第491回
落胆のミシュラン一つ星

ミシュラン・フィーバーもだいぶ冷めてきたようだ。
もっとも東京版の発売時期が年の瀬の直前で
まさに飲食店のかき入れどき。
相乗効果が生まれたものか、
一つ星店でさえ、予約が取りにくい状況だった。

4月中旬の夜、西麻布の「メゾン・ド・ウメモト上海」へ。
奥の個室に案内され、注文したのは16800円のコース。
時計は19時を回っていたがダイニングにほかの客はナシ。
夜の深い場所柄、仕掛けが遅めなのかもしれない。
料理は大皿ではなく、小皿に取り分けてくれるので
大人数を揃える必要のない中華料理店にもかかわらず、
その夜は4人で出掛けたのだった。

最初の一杯は中国産青島ゴールドの小瓶。
ふだん飲みつけていないビールの甘みが気になる。
二杯目はこれも好みではないが
サントリー・プレミアムモルツの生中。
TVのCMでは永チャンも結子さんも
実にうまそうに飲み干すが、
二人はホントに好きなのだろうか。
あとは熟成10年の紹興酒を
メートルDのおすすめにしたがってお願いした。

突き出しの賽の目ザーサイがヤケに塩辛い。
色合いからして浅漬けのようだ。
前菜盛合わせの内容は、砂肝煮・蒸しあわび・
甘海老唐揚げ・くらげ・ピータンなど7点。
それなりに楽しめるものの、
これといって傑出した逸品はない。

続いてせいろに入った大焼売が各自1個ずつ。
高価なコースに焼売ですかい? という感じ。
これでまずかったら問題だが、幸いにもおいしかった。
レモンを添えた車海老のフライは
シェフの意図するところが判らない。
海老を揚げるのは洋食屋か天ぷら屋に任せるべきだろう。

フカヒレの姿煮もそれなり。
料理人の腕がある程度のレベルに達してしまうと
あとは素材次第という宿命を持つ料理だから仕方がない。
問題は男性に比べて小さなフカヒレが女性に供され、
男女平等の理を表してはいない。
殊に当夜は割り勘だったため、女性陣に悪い気がした。

ここで本日のベストディッシュ、
ブレス産コクレ(ひな鶏)の粘土包み焼き。
しっとりとした身肉にうま味が閉じ込められて
高級フランス料理店も顔色ナシの焼き上がりだ。
お次の牛ほほ肉の煮込みも中華らしくない一皿で
これまた仏料理の領域を侵犯している。

締めは炒め物の三連荘。
玉子&トマトの炒め、黄にら&押し豆腐の炒め、
そして魚介類&お米の炒めだ。
魚介とお米の炒めって何だ!ってか?
世間ではこれを海鮮炒飯と呼ぶらしい。
この炒飯がびっくりするほど具沢山。
でもお米を食べている気があまりせず、
なんだかあり難迷惑のキライあり。

デザートのシロップひたひたの黒胡麻入り饅頭と
フルーツのマンゴーソースは男女を問わず、好評だった。
気になる会計は4人で10万円超え。
この内容でこの値段では気持ちの折り合いがつけにくい。
22時過ぎに退店したが
とうとうわれわれの貸切で終わってしまった。

【本日の店舗紹介】
「メゾン・ド・ウメモト上海」
 東京都港区西麻布2-26-20B1
 03-5467-2837
 
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2008年5月20日(火)

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