「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第494回
それが男の魂じゃないか!

今年もまた三社祭の季節がやって来た。
2日目の大祭日の夕刻にパラパラッときたものの、
これだけの好天下での祭りはここ数年、記憶にない。
初日の昼食は浅草の奥座敷、橋場の「山海」へ。
冬場のとらふぐが名物なのだが
充実したランチメニューがまた侮れない。
しかも夜のように立て込むこともないから
落ち着いて食事を取ることができる。

ランチといえども、その品揃えには迷うこと必至。
この日の焼き魚が北海道産ニシンの塩焼きと聞き、
珍しくも迷うことなく定食でお願い。
一時期は、実はこの一時期が非常に長かったのだが
まったく姿を見せなくなった北海道のニシンが
ここ数年、安定して水揚げされるようになってきた。
往時のニシン御殿の再興は望むべくもなくとも
再び庶民の食卓をニシンが飾るのは喜ばしい。

かなり大き目のニシンが焼き上がって
たっぷりの大根おろしとともに運ばれた。
ところがどういうわけか、この日は焼き加減が浅く、
部分的に血液が赤いまま残っており、少々気色悪い。
オマケに腹には数の子も白子も見当たらず、
すでに抜き取られたあとなのが残念だ。
てなわけで、今回の「山海」は不完全燃焼に終わる。

帰途、橋場と清川にまたがるアサヒ通り商店街の
いなり寿司専門店「松むら」に立ち寄り、
いなり3個&かんぴょう巻き4切れの
一番小さい折詰(525円)を買い求めた。
ここのおいなりさんはヒタヒタの煮汁が特徴。
のり巻きとの間をラップで隔離しないと
ビシャビシャになってしまうほどなのだ。
東上野の名店「きつ音忠信」とはまさに好対照。
「松むら」は墨田区・玉の井と
足立区・北千住にも支店がある。
往時は艶かしい地域に店舗を構えていたわけだ。

あと先、考えずに購入したものの、
はていつ食べようか、折詰のいなりとのり巻き。
この日の夕食は麻布十番の「かどわき」だから
締めの炊き込みごはんを含めて
かなりのボリュームが予想される。
翌日の朝飯にでもするしか策はないか。

折詰をブラ下げて吉原を縦断。
言問通りを渡ると、さすがに人の波が押し寄せてくる。
繁華街の六区に入り、数軒ある映画館の看板に目を通す。
そのうちの1軒、浅草名画座に興味をそそられた。
20日までの三本立てに「人生劇場 飛車角」と
「雲の上団五郎一座」が組み込まれている。
もう1本は高島礼子主演の極妻シリーズだが
これは以前見たような、見ていないような・・・。

さあて、これを見逃す手はないぞ。
同じ鶴田浩二主演の「飛車角と吉良常」は
何度も観ているのに「飛車角」は
後半の3分の1ほどしか観ていないのだ。
「雲の上・・」も劇場版ほどではないにせよ、
フランキー堺が怪優ぶりを如何なく発揮している由、
殊に「勧進帳」の弁慶は見落とせない。
翌日は三社祭の大祭日。
神輿見物をよそに往年の名画見物も悪くはないな。
「観ると思えば どこまで観るさ
         それが男の魂じゃないか!」
明日もまたエンコに出掛けてくることにしよう。


【本日の店舗紹介】
「山海」
 東京都台東区橋場1-30-10
 03-3873-4731

「松むら 清川本店」
 東京都台東区清川2-4-1
 03-3873-5024

 
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2008年5月23日(金)

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