「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第497回
鉄道マニア あこがれの北浜 =居酒屋北帰行(その2)=

居酒屋北帰行の次の目的地は釧路。
単線の釧網線に揺られながら
ゆっくりと行くことになっている。
その前に網走駅前で撮影だ。

駅舎の前にある一枚板の立て看板が時代を感じさせる。
今どき珍しくも縦書きで「網走駅」と書かれていた。
縦書きにはある願いが込められている。
この駅から故郷やゆかりの土地に向かう元受刑者たちが
再び道を外さぬよう、脇道・横道にそれぬよう、
真っ直ぐに真っ当に、生きていけるようにと
横書きを避けて縦書きにこだわっているのだ。

網走刑務所を出所して
故郷に帰っていく元受刑者となると
「幸福の黄色いハンカチ」の高倉健を思い出す。
映画では出所直後の健さんが駅前の食堂で
瓶ビール・かつ丼・醤油ラーメンを注文する。
あのビールの飲み方は語り草。
飲み方もさることながら、食いっぷりも上手かった。
健さんはこのシーンのために2日間絶食したというから
まったくもって「見上げたモンだよ!役者のフンドシ!」
じゃなかった、「役者の根性!」――ですね。

網走を出発して途中下車したのは北浜駅。
鉄道マニアなら知らない者とてない聖地である。
日本の鉄道駅の中でもっとも海に近いそうで
流氷の見える駅としても有名だ。
駅舎の待合室には訪れた旅人の名刺や定期券が
めいめい画鋲やテープでとめられており、
その数がハンパではない。
深川は高橋(たかばし)のどぜう「伊せ喜」の
ビジネスカードを発見したときには思わず苦笑。

「停車場」という喫茶店風の店が舎内にあり、
ローカル色豊かにして、レトロ感にもあふれている。
一同、協議の結果、ここで昼食と相成った。
カメラは回さないから、のんびりと腹ごしらえができる。
意外なことにフードメニューが充実していて
カレー・ピラフ・スパゲッティが何種類もあった。
蟹ラーメンやオホーツクラーメンに
各種ランチセットも揃っている。

旅路の果てのロケに来ていると
食事の時間がいつ取れるやもしれず、
お腹ペコペコで、その時間を迎えることが多い。
殊にカメラマン・音響・照明の担当者は
ほとんど肉体労働につき、空腹度もひとしおだ。
ロケ中、彼らの食事は常に「大盛り」であった。
北浜駅の「停車場」でもおのおの、
帆立カレーやカツカレーの大盛りを注文する。

出演者のわれわれ2人は
ミーシャがハンバーグがメインの停車場ランチ、
J.C.はロースカツのカツランチをお願い。
値段はそれぞれ850円と1100円。
ミーシャはハンバーグが好物だが
白飯を口にすることがほとんどなく、
彼女のライスは音響と照明の
通称“大盛りブラザース”に直行することとなる。

厚みはあるが、やや細身のロースカツのうまさに仰天。
ジューシーな豚肉に脂身がほどよく付いて
駅に隣接する喫茶店のレベルをはるかに超えている。
再びメニューを眺めていてポンと膝を打った。
この店では予約制ながら夜に仏料理を食べさせるのだ。
フレンチシェフの作るポークカツが不味いワケないや。


【本日の店舗紹介】
「停車場」
 北海道網走市北浜無番地
 0152-46-2410

 
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2008年5月28日(水)

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