「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第500回
屈斜路湖に アイヌのコタンを訪ねる =居酒屋北帰行(その5)=

それでは初めに先週金曜日の答えから。
ハシゴ酒は英語で pub crawling と言います。
米語では bar hopping ですね。
イギリス人とアメリカ人の違いがよく出ていて面白い。
crawlは水泳のクロールと同意で
hopはホップ・ステップ・ジャンプのホップですね。

さて、川湯温泉駅内の「ORCHARD GRASS」で
ミーシャともどもハンバーグを食べたあと、
彼女は屈斜路湖にボートを出して
そもそも存在する可能性が
限りなくゼロに近いクッシーを探し求める。
その間にこちらは屈斜路湖畔の露天風呂で
命の洗濯とシャレこむ腹積もり。

この頃にはつかの間、天気も回復して
湯舟から見上げる空はグッドデイ・サンシャイン!
何とも言えずにいい気持ちだ。
目の前には屈斜路湖が悠然と広がっている。

今宵は湖畔のコタン(村落)で「丸木舟」というロッジを
経営するアイヌ人・アトゥイさんにお会いする手はず。
このロッジにはレストランが併設されていて
現代風のアイヌ料理を供している。
食後はアイヌ詞曲舞踊団モシリのライヴを観賞だ。
いやあ、楽しみ、楽しみ。

夜の帳(とばり)が下りて窓の外は真っ暗闇。
ロッジ2階にあるかけ流しの温泉につかり、
いよいよ夕食の始まりだ。

『 屈斜路物語 丸木舟 =創作アイヌ料理= 』
と謳われたフルコースの内容は下記の通り。

すもも酒(食前酒)
パリモモのヌタ
芋チョケプ
姫鱒のルイペ
パリモモの姿造り
ピリカ鍋
鹿バラ肉あぶり焼き
キトピロ玉子とじ
パリモモのルイペの手巻き寿司
虹鱒すり身団子のすまし汁
発酵じゃが芋団子と白樺茶

*ジルシは特筆すべき美味である。

パリモモというのは屈斜路湖で釣れる淡水魚で
エゾウグイなどとも呼ばれる。
アイヌ語では「口笛を吹く魚」と言われ、
それが証拠に活造りのアタマは皿の上でずっと元気。
口をパクパクさせて口笛を吹くのだ。
ケチョプはイクラのことであった。
ルイペはルイベではなく、ルイペが正しく、
アイヌ語で溶ける食べものの意。
ピリカ鍋は虹鱒のつみれと野菜をバターで炊くが
昔はバターの代わりにアザラシの脂を使ったという。
キトピロは行者にんにくのことだ。

世にも珍しい晩餐を堪能したあとは
モシリのライヴショーに酔いしれる。
幻想的な歌と踊りに誘われて
踊りの輪の中に溶け込むミーシャとJ.C.。
刺身・すり身など、居酒屋フードの原点は
アイヌ料理にあるという。
北の果てに居酒屋のルーツを求める旅も
かくしてクライマックスを迎えたのであった。


【本日の店舗紹介】
「丸木舟」
 北海道川上郡弟子屈町屈斜路コタン
 015-484-2644

 
←前回記事へ

2008年6月2日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ