「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第501回
小肌のかすり丼 
=男の手抜き料理シリーズ(第2回)=

徹底的に手を抜いて
なおかつ、おいしいものを作ってしまおうという
男の手抜き料理第2弾は鮨に挑戦する。
鮨といってもにぎりは素人には難しいし、
かといってちらしは食材の準備や下ごしらえが面倒だ。

今日はまぐろの鉄火丼をアレンジしてみる。
名付けて小肌のかすり丼。
「かすり」って何だ!ってか?
かすりは絣で、久留米や伊勢崎の名産として
世に知られる織物のこと。
ところどころ、かすったような文様が特徴だから絣。
小肌の皮目の模様がかすりにそっくり。
今は亡き「弁天山美家古寿司」の四代目が
ある日、こうつぶやいたのを覚えている。
「小肌はいいねぇ、かすりが何とも粋だねぇ・・。」

それではまぐろの赤身の代わりに
小肌を使った鉄火丼ならぬかすり丼の作り方。
例によってレシピではなく、食材の調達と製造過程を記す。

(1) 小肌をデパ地下、あるいは高級スーパーにて購入。
   1パック5〜6尾である場合が多く、これが一人前。
   大衆的なスーパーでは手に入らぬか、
   たとえ入っても「巨肌」であることが多い。
   巨肌はデッカくなったコノシロで、これは論外。

(2) ごはんを炊きながら小肌の下処理。
   尾が付いている場合は切り落とし、
   背びれに沿って、背びれごと幅2ミリほど落とす。
   するとまな板には半身になった小肌が2枚。
   ごはんで注意したいのは必ず固めに炊くこと。
   普段の水加減の1割減といったところだ。

(3) ごはんが炊き上がったら酢めしの作成。
   すし酢の黄金率は、酢6:砂糖2:塩1。
   熱いごはんに酢を打ち、しゃもじで切るように混ぜる。
   このとき団扇であおぐが、脇にカミさんでもいないと
   上手くいかないから、あとからでよい。
   酢めしを口に含んで旨いと思った分量が
   アナタにとってのすし酢の適量。

(4) どんぶりに酢めしをよそい、
   その上に10〜12片の小肌を美しく並べる。
   おろし立ての本わさびをチョコンと乗せて完成。
   「わさびは生でなくともいいや」という向きには
   粉わさびでOKだがチューブだけは避けたい。
   あとは醤油の小皿と、できればスダチかカボスを。
   柑橘類で目先、鼻先を変えることが可能となる。

(5) 酢めしを2種類作り、茶碗で1膳ずつ食べると
   ダブルのおいしさが味わえる。
   酢めしを半分だけ別に取り、
   きざんだ柚子皮やおろしたスダチ皮、
   あるいは白胡麻などを混ぜ込むのがオススメ。
   鉄火丼と違い、海苔との相性は悪いので使わない。

小肌の代わりに鯵・秋刀魚・サヨリなど、
ひかりモノなら何でもイケるが
必ず酢で〆られたサカナに限ること。
市販の小鯛の笹漬けも絶好の素材で
これなら酢めしを作るだけで「一丁あがりぃ〜!」だ。

 
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2008年6月3日(火)

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