第505回
メンチカツはOKなのだが!
西島三重子という女性歌手がいた。
ヒット曲は「池上線」。
ご存知の方も少なくないだろう。
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古い電車のドアのそば |
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二人は黙って立っていた |
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話す言葉をさがしながら |
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すきま風にふるえて ♪ |
若い恋人たちの別れを
せつせつと歌う彼女の代表作である。
メロディーの感じは異なるものの、
心情的にはかぐや姫の「神田川」に似ている。
彼女にはもう1曲、「池上線」によく似た曲がある。
目白駅前に彼女の母校・川村学園があって
そこから目白通りを東に10分ほど歩くと
千歳橋という陸橋に達する。
橋の下には都内に唯一残った都電・荒川線と
都内有数の幹線道路・明治通りが並行して走っている。
この橋をモチーフにして生まれた名曲が「千登勢橋」。
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電車と車が並んで走る |
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それを見おろす橋の上 |
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千登勢橋から落とした白いハンカチが |
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ヒラヒラ風に舞って飛んで行ったのは |
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あなたがそっとさよならを |
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呟いた時でしたね |
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胸の想い言い出せなくて |
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遠くでカテドラルの鐘 |
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思わずこぼした涙をふいて |
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無理に笑った風の中で ♪ |
ともに1970年代後半の曲だが当時とは
若者の恋愛スタイルもずいぶん変わったことだろう。
前置きがとてつもなく長くなった。
その千歳橋にほど近い商店街にある
「モズ・カフェ」が今日紹介する食事処。
夜は洋風居酒屋、昼は洋食屋といった風情の店だ。
友人と出掛けての注文品はメンチカツとポークソテー。
最初に大きなカップのコンソメが登場。
にんじん・大根・マカロニが入っている。
メインとライスの前にスープを出されてもうれしくない。
パンならいざしらず、ライスのときには
スープも味噌汁同様に一緒に出してほしいものだ。
しばらくして料理とライスが運ばれる。
デッカいメンチにナイフを入れると
ジュワ、ジュワーッと肉汁があふれ出た。
ややっ、コイツはうまそうだ。
期待に胸を弾ませてパクリと一口。
いいぞ!と感じたのはホンの一瞬だけ。
何だこりゃあ!何なんだこの甘ったるさは!
初めからたっぷり掛けられたソースが滅茶苦茶甘い。
相方のポークソテー生姜風味のタレも
レシピを間違えたがごとくにおっそろしく甘い。
それでも訪れる客は老若男女混ぜこぜでひっきりなし。
目白の人は揃いも揃って甘党なのかい?
メンチカツが秀逸なだけに残念無念。
楽天の野村監督ではないが「バッカじゃなかろか!」。
あと味だけは甘くとも、ホロ苦い思いを胸に
千登勢橋を渡って帰る、小雨まじりの6月の午後。
【本日の店舗紹介】
「モズ・カフェ」
東京都豊島区雑司が谷2-5-18
03-3987-6660
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