「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第510回
すし詰めの焼きトン屋(その2

まったくの別経営ながら、店主同士の修業先が
一緒だった祐天寺と中延の「忠弥」。
祐天寺店に遅れることおよそ半年、
中延店のカウンターに何とか席を確保している。
祐天寺は向島の料亭「K」の三代目に案内してもらった。
今回の中延には一人で来ている。

「忠弥」のあとに近所の中華屋にも
立ち寄る算段をしているので
そんなにたくさんは飲んだり食べたりできない。
2軒目ではハムのフライを食べるつもり。
町の中華屋でハムフライというのもおかしなハナシだが
洋食メニューも手掛ける店なのだ。
となると飲みものはほぼビールに限定されるから
「忠弥」ではビールを控え、自家製のカクテルでいく。
ウイルキンソンのジンジャーエールが主体の
シュワシュワ系ドリンクだ。
アルコール度は5%に満たないだろう。
その夜はこれを2杯飲んだ。値段は1杯400円。

品書きの内容は祐天寺店とほぼ同じ。
ただし、祐天寺にはあった生のピーマンと
ともに食べるつくねが見当たらない。
あれがないと少々淋しい。
肉団子とピーマンの相性のよさに
気付いた人はエラいが、
おそらくピーマンの肉詰めに
発想のヒントを得たものと思われる。

しばし熟考のあと、
注文用のメモ用紙に書き入れたのは
塩煮込みと焼きトンが4本。
「忠弥」の焼きトンは大串だから4本でじゅうぶん。
内容は塩でオッパイ、タレでレバとテッポウとドテ。
オッパイというのは読んでそのまんま、
メス豚の乳房のことだ。
テッポウは直腸、ドテはオス豚のペニス。
中国人の悪食を揶揄して四つ足ならば、
テーブル以外は何でも食べるなどと言うが
どうしてどうして、日本人も人さまのことを
悪しざまに言えた義理ではない。

オッパイはJ.C.の大好物(人間のではない)。
銀座界隈で飲んだあと、
二次会で利用することが多々ある有楽町ガード下の
居酒屋「八起」では必ず注文するのがオッパイ炒め。
「忠弥」のそれも見事、期待に応えてくれた。
独特の食感が何とも言えず、
これはタレよりも断然、塩がよい。

ミディアムレア状態のレバが申し分ない。
テッポウは他店では大腸や小腸と一緒くたにされて
シロと呼ばれることもあるが
噛み応えがあって口中での滞在時間がもっとも長い。
焼きトン屋ではレバとシロを頼まぬことはなく、
この2種類は塩よりもタレがよい。

さて、めったに食べられぬドテだ。
ほとんどの読者の方々が未食のゲテモノだろう。
見た目は一口大に切ってあるから何だかよく判らない。
1片を串から歯で引き抜き、そのまま噛み下すと
筋肉とコラーゲンが入り混じって
コリコリとシコシコがと口の中で分散していく感じ。
噛んでいるうちに、さすがはオトコのシンボル、
連帯感がムラムラとこみ上げてきた。


【本日の店舗紹介】
「忠弥」
 東京都品川区東中延2-10-9
 03-3783-2257

 
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2008年6月16日(月)

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