「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第512回
百足によく似た 牛のハチノス

「古畑任三郎」と「王様のレストラン」以来、
三谷幸喜は大好きなのだが
いくら自作の映画のキャンペーンとはいえ、
あそこまでTVに出ずっぱりだといささか食傷気味。
製作にテレビ局がからんだときの
恐ろしさを感じざるを得ない。
あれだけあおればヒットは確実なのだろうが
大衆の洗脳と言うか、大衆文化の捏造と呼ぼうか、
どこか強引な勧誘に似たものがある。

そう言えば夜のゴールデンタイムに
「古畑任三郎」の再放送が盛んに放映されている。
新作かと思ってビデオに撮ったものの、
冒頭の古畑のコメントで
「皆さん、明けましておめでとうございます」
とやられたのにはつんのめった。
再放送なら再放送と謳ってほしかったヨ、
フジテレビさん。
オカザワJ.C.郎ならぬ、J.C.オカザワの野郎でした。

まっ、気を取り直して「食べる歓び」いきます。
今日はJR埼京線・板橋駅前の中華料理店「同心房」。
若い頃に何年もの間、板橋区に住んでいながら
板橋駅周辺はほとんど未踏に近く、
ユニクロでTシャツか何かを買った記憶がある程度。
実は板橋駅で下車したのは初めてのことなのである。

マピオンで所在地の確認をしてみて驚いた。
この駅はとてつもなくヘンな駅で
駅構内のほとんどが豊島区内にあり、
改札の西口は板橋区、東口は北区にあたる。
要するに23区の3つの区にまたがっているのだ。
ついでに板橋駅の西側に隣接する
東武東上線・下板橋駅は
すっぽりと豊島区に入っている。

行政区分はともかく東口を出て「同心房」に向かった。
駅ロータリーの正面に新撰組の局長と副長の
近藤勇と土方歳三の墓がある。
近藤が板橋で刑死したことは小学校で教えてくれたが
箱館戦争で戦死した土方は五稜郭、
あるいはその近辺に埋葬されたというのが通説で
板橋に遺骨があるとも思えない。

午後1時を回っていたので店内には空席がちらほら。
ピーク時にはかなり混み合うようだ。
1番から13番まである定食メニューのうち、
最終候補としてノミネートされたのは
レバニラ炒め(580円)・牛ハチノスもやし炒め(750円)・
ゆで豚もやし冷麺(700円)の3つ。
結局、牛ハチノスを選んだ。

ほんの数分で料理が運ばれる。
主菜のほかに大根とにんじんの酢漬け・かき玉スープ・
ごはん・杏仁豆腐がセットになっている。
最近とみに増えた中国人経営の中国料理屋は
日本人経営の町の中華屋よりも
価格競争力が強いように感じる。

ハチノスは牛の第二胃袋。
第一胃のミノとともに反芻の役割を担う。
細く切られたその胃壁のヒダヒダが
百足(むかで)にそっくりで薄気味が悪い。
ところが食は見かけによらぬもの。
こりこりとした歯ざわりにもやしとニラが
しゃきしゃきと重なって
大変、おいしゅうございました。


【本日の店舗紹介】
「同心房」
 東京都 北区滝野川7-9-9
 03-3949-8562

 
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2008年6月18日(水)

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