「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第518回
「おとなの週末」の下町特集(その2)

鮨・洋食ときて、さらにページをめくる。
「おとなの週末」7月号は下町の味めぐりだ。
天ぷら屋は初っ端におすすめ度五つ星の
人形町「つじ村」の天丼と天ぷら定食が登場。
ともに1250円なのだが
この店は昼よりも夜に真価を発揮する。
夜のお値打ちぶりは他店を圧倒するものがあり、
昼はかなりの店が格安サービスを実施するので
「つじ村」の割安感が埋没しかねないのだ。

「土手の伊勢屋」(五つ星)の豪快な天丼ロは
天丼好きにとっては垂涎の的だろう。
瓦葺きの老舗で食べるにふさわしいのは
天ぷら定食ではなく江戸前の天丼。
それも一も二もなく穴子であって
間違えても海老天丼を頼んではいけない。
ただし、ボリュームがかなりあるから
穴子のみの穴子天丼をお願いしてしまうと、
穴子好きでも手を焼くことになるかもしれない。
とにかくあの空間で天丼を
食べることができるだけでもシアワセだ。

高級店「深町」(五つ星)は
平日のランチ限定でかき揚げ丼を供するが
この店をピックアップしたのがそもそもの間違い。
下町の庶民性とは無縁の店だし、
おちおちどんぶりを食べていられない雰囲気だ。

毀誉褒貶の激しい有名店「みかわ」(五つ星)も
この値段なら納得というところ。
ただし、これが無名店ならボリューム的に
クレームが付くかもしれない。
ライターさんも名前に気おされたか
採点がちと甘くなってしまったようだ。

それにしても人形町の隠れた名店、
「中山」の三つ星はないだろう。
若い人には受けないというよりも
天ぷらを評するにはそれなりの経験と
味覚が必要不可欠であることの証明だ。

そばだけは麺類のプロフェッショナル、
めんくい鈴木氏の独筆。
五つ星の「神田まつや」と「上野藪そば」は
さすがの選択だが「並木藪蕎麦」に関しては
J.C.と意見が分かれる。

四つ星の「室町砂場」、「池の端藪蕎麦」は
意見の一致を見た。
少々意見の異なるのは「かんだやぶそば」。
ただし、この店は店内の雰囲気や
注文を通すノドの名調子など
特長がいろいろあり、高評価もうなずける。

根津の「夢境庵」に四つ星は大盤振る舞いで
浅草橋の「あさだ」の四つ星は言語道断。
殊に「あさだ」は住まいのそばにつき、
仕方なく何度か訪れたが、そばも天ぷらも
そのほかのつまみも見るべきものがまったくない。

三つ星の「ほそ川」・「やぶ久」・「おざわ」・「錦町更科」と
二つ星以下の「公望荘」・「京金」・「利久庵」・「浜町藪そば」・
「手打古式蕎麦」・「蕎麦上人」(正しくは蕎上人)は
ものの見事に評価が真っ逆さまでデザイアー。
食べ手によってこんなに大きな違いが出るのは
驚き以外の何ものでもない。

            =つづく=

 
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2008年6月26日(木)

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