「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第520回
「かどわき」に友里征耶の亡霊が!(その1)

ミシュランガイド東京の掲載を拒否したと
巷間伝わる麻布十番「かどわき」。
食べ歩き仲間のN戸夫妻に案内されて暖簾をくぐった。
夫妻はここ数ヶ月の間に何回か訪問を重ね、
すっかりハマッてしまった様子。
ぜいたくはこの店と決めたようだ。

カウンターの左隅から4つの席を占めたのだが
心なしか店主の気配りが、より丁寧な印象。
味には相当うるさいN戸氏だから
作り手も微妙にプレッシャーを
感じるものとお見受けした。

ビールはエビスしか置かないのが残念。
それでも生だとクセが和らぐので
瓶よりはいくぶんありがたい。
あとはずっとブルゴーニュの銘醸白ワインで通す。
ピュリニー・モンラッシェ・プルミエ・クリュ’05
ラ・ガレンヌ・デュ・モンティーユ。
コルトン・シャルルマーニュ・
ベルターニャ・グラン・クリュ’04。
盆と正月が一緒に来たみたい。

皮切りは蓮根のキンピラに真鯛の昆布〆と
貝類の出汁を合わせた一品。
あさりと北寄貝の姿も見える。
花山椒と実山椒がぶんだんにあしらわれ、
季節感あふれる小料理に仕上がった。

焼き天豆に続いたかぼちゃの花のフリットが印象的。
花の中には海老のすり身がギッシリ詰まっている。
一口パクリとやっただけで
シアワセいっぱい、口いっぱい。
春のイタリアならば、ズッキーニの花に
モッツァレッラを詰めるところだ。

お造りは真子がれいの薄造り。
塩ポン酢と肝入り醤油で食べさせて美味。
いつの間にか白身のサカナが
平目から真子に切り替わって
初夏の訪れを卓上に見る思い。
もうじきコチがお目見えすることになろう。

琵琶湖の若鮎の塩焼きは一人二尾当て。
これには一年前の同じ琵琶湖産の鮎の
熟成させた白子と真子に
生蓼を合わせたものが添えられた。
ふ〜ん、いろんなことを試す人だよ、
かどわきさんは。

はまぐりと新じゃがのバター蒸しには
キャヴィアがあしらわれた。
贅の限りを尽くしてはいるものの、
悪行を働いているわけでもないのに
うしろめたいものを感じてしまう。

J.C.はめったなことでは
豪華な和食のフルコースをいただかないが
ここでどうしたわけか
突然、脳裏をよぎったのが
ハゲちょろけた友里征耶のすっとぼけた顔。
せっかくおいしいものを食べているときに
何でまたあんな顔が浮かび上がったのだろう。
イケナい、イケナい、食事がまずくなる。

          =つづく=

 
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2008年6月30日(月)

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