「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第528回
肩透かしの あんかけ焼きそば

神田錦町の中国料理店「龍水楼」。
「古き良き東京を食べる」では
名店二百選に選出したものの、
羊肉のしゃぶしゃぶのミニマム5人前に対しては
苦言を呈させていただいた。
あざとい商法を糾弾したりもした。

夜に出掛けたことしかなかったので
次著「昼めしを食べる」の取材のため、
ランチタイムに出没してみた。
2〜3品まとめて試そうと思い、
前日にランチメートに声を掛けるも
すべて空振りに終わる。
みんながみんな、揃いも揃って不都合だった。
何やら雲行きが怪しくなって
不吉な予感さえしてきたのだった。

夜には何度も来ているから
「龍水楼」の味は知りつくしている。
ランチといえどもその再確認にすぎないから
独りでも、まっ、いいやとばかりに到着した13時。
店先の立て看板にランチメニューが明記されている。
どれどれ見てみよう。

Aランチ 麻婆豆腐(ごはん・スープ・お新香)850円
Bランチ 玉ねぎ&豚肉細切り炒め( 〃 ) 850円
中華丼・やわらかい焼きそば・かた焼きそば 各780円
ライス210円 半ライス100円
ビール大瓶630円 小瓶420円

ほかに但し書きとして

ランチは先払いです。
食券をお求めください。

汁そばのご提供は2007年8月末日を以って
終了いたしました。

ふ〜ん、食券はラクだよなぁ、取りっぱぐれもないしね。
そりゃ汁そばはゆで加減があるから面倒だわな。
極力、労力と人件費を省こうという魂胆が見え見えだ。
しばし考えてやわらかい焼きそばのチケットを購入する。

ピークをはずしているから難なく席にありつけた。
5〜6分で登場した焼きそばはあんかけスタイル。
具材は豚肉・竹の子・きくらげ・小松菜・白菜の5品だ。
皿の脇には練り辛子が添えられている。

まずは麺を一口食べて愕然とする。
一体何だこの麺は!
おっそろしく柔らかい。
いくらやわらかい焼きそばといっても
こりゃ柔らかすぎだろう。
歯のない赤ちゃん、あるいは歯の抜けたお年寄りでも
これならまったく問題なく食べられる。
だけどJ.C.はイヤだ、これを焼きそばとは認められない。

歯ナシになら、もとい、ハナシならないとはこのことで
「龍水楼」の評価はガタ落ち。
もしも「古き良き〜」の出版前に
ここでランチを食べていれば、
二百選入りは到底ムリであったろう。
不吉な予感は当たっていたのだ。
哀れJ.C.、強烈な肩透かしに
もんどり打って黒房下に転げ落ちたのだった。


【本日の店舗紹介】
「龍水楼」
 東京都千代田区神田錦町1-8
 03-3292-1011

 
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2008年7月10日(木)

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