「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第531回
猫と人間

鳥類や爬虫類(はちゅうるい)はデータがないが
哺乳類では子どもの頃に食べた食べものの味を
ずっと忘れないで覚えているのは人間と猫なのだそうだ。
わが家の猫はただ今、満4歳。
まだ若いので何ともいえないものの、
食べものの好みはずっと変わっていない。

わが身を振り返ると、
変わっていないようでもあるし、
多少変わったところもあるようだ。
子どもの頃に好きだった食べものが
大人になって嫌いになったというのはあまりない。
だが、昔は嫌いだったのに
大きくなって好きになったものは多い。
思いついたが百年目、ちょいと整理してみる。

*ずっと好きであり続けている食べもの
  蟹・牡蠣(かき)・たら子・豚肉・玉子・枇杷(びわ)
  鮨・うなぎ・もつ焼き・パスタ・中華そば

*嫌いだったのに好きになった食べもの
  まぐろ・かつお・小肌・羊肉・豆腐・西瓜
  日本そば・ちり鍋・カレー

こうしてみると、昔はダメだった青背のサカナや
光りモノが歳とともに好きになっている。
かつおなど、まったく手も足も出なかったのが
今では鮨屋で見つけたら必ず注文している。
もっともかつおというサカナはプロの料理人でも
なかなか良し悪しの見極めがつかない厄介モノで
見た目はよさそうでいながら、いざ開いてみると
箸にも棒にも引っかからないが少なくないという。


羊肉、いわゆるマトンも苦手だった。
あの独特の臭みが今では
食欲をそそるのだから不思議だ。
これには酒を飲まない幼年時代と
赤ワインを知った成年時代の差が大きい。

豆腐も若い頃には見向きもしなかった。
子どもたちが好まないためか、
母親は豆腐料理には消極的だったと記憶している。
父親は食べていたようだが
冷奴や湯豆腐が食卓に上ることはまれだった。
それがここ10年ほどはどうしたことだろう。
歳を重ねると豆腐に目覚めるというが
本当のことだったと実感している。
白身のサカナと豆腐を合わせた
ちり鍋なんぞは今となっては大好物だ。

日本そばも豆腐と同じで
好きになったのは40代になってから。
以前はノビにくいうどんが好みだったのに
コペルニクス的転回を遂げてそば一辺倒になった。

カレーライスもそうだ。
子どもなら喜びそうなものなのに、
なぜかカレーを嫌うイヤなガキだった。
今では欧風を除くすべてのカレーを好んでいる。

西瓜もすすんで食べるようになったのはここ数年。
昔はあの青臭さが気に入らなかった。
当時は夏になると梨や桃を食べていた。
そして今も昔も高価で稀少な枇杷は
めったに口に入らぬものの、一番好きな果物である。

 
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2008年7月15日(火)

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