「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第536回
天竜川の鮎飯せいろと炊き込みごはん(その1)

門前仲町の仏料理店「ラ・レネット」でのランチ後、
子どもの頃に縁日で親しんだ深川不動尊にお参り。
暑い日ではあったがそのまま駅には向かわず、
腹ごなしにと、森下まで歩くことにする。
清澄通りを真っ直ぐ北上の途中、
清澄庭園の東側にあたかも庭園に
へばりつくようにして
商店が軒を連ねる一画に差し掛かった。

そのうちの1軒が店頭に出す品書きの
スタンド看板が気になった。
鮎飯せいろセット(1200円)というのに目が釘付け。
スッキリとした店のたたずまいが好印象で
うまそうな雰囲気が漂っている。
ほかには天丼定食・すき焼きセット・幕の内弁当・
鮪漬け丼セットなどなどが揃っている。

店の名は「天竜」。
天丼があるし、店名からしても
どうやら天ぷら屋のようだ。
それはそうと、鮎飯せいろセットってのは何だろう。
鮎の炊き込みごはんとせいろそばのセットかな?
こんなことはいろいろ思いをめぐらしても始まらない。
百聞は一見にしかずで、実際に食べてみりゃ判ること。
それでも訪問まで2週間のときが流れた。

プロの料理人を伴って午前11時半に
おジャマすると、暖簾がまだ出ていない。
イヤな予感がしたので、ええいままよと入店すると
何やら店内は大忙しで、幕の内を所狭しと並べている。
おおかた大口の予約でも入ったのだろう。
女将さんと思しき女性が申し訳なさそうに
「11時45分くらいの開店になっちゃうんですが・・」
いいでしょう、いいでしょう、しばし外にて待つ。

近隣に勤めるお父さんたちが三々五々集まり来て
ドンドン中へ入ってゆくものだから
われわれも遅れてはならじと、あとに続く。
カウンターに落ち着いて店内を見渡し、
同時に嗅覚を働かせてみても
これは天ぷら屋に非ずということが自ずと判明した。

まずは店主に鮎飯せいろとは何ぞやと訊ねる。
店主応えて「鮎を使ったせいろ飯です」。
おっと、そういうことでありましたか。
セットなので天ぷらも付いているとのこと。
当方、天ぷらナシでも注文する気で来ているから
これには内心、ほくそ笑んでお願いした次第。

先客の昼ご膳セット(1200円)が
目の前で盛り付けられている。
刺身と天ぷらのコンビなのだが
ジックリ見させてもらったら、刺身の内容がスゴい。
平目・かつお・めじまぐろ・帆立の4点で
見るからにモノがよさそう。
本わさびではないが、相当なお値打ちメニューだ。
天ぷらだって、海老2本・なす・ししとうとご立派。

そうこうするうち、鮎飯せいろが蒸し上がった。
サイドには小鮎・みょうが・ししとうの天ぷら。
あとは吸い物と香の物。
おもむろにせいろのフタを開ければ、
ごはんの上には鮎のほぐし身と
蓼(たで)の葉の粉末が散らされた美しい光景。
鮎は天竜川の陸封モノだという。
なるほどネ、「天竜」は天竜川の天竜だったのだ。
  
          =つづく=


【本日の店舗紹介】
「天竜」
 江東区清澄3-3-28
 03-3630-8850

 
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2008年7月22日(火)

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