「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第537回
天竜川の鮎飯せいろと炊き込みごはん(その2)

清澄庭園沿いの「天竜」は
予想に反して天ぷら店ではなく、
刺身・天ぷら・炊き合わせとまったく穴のない、
すべてに秀でた和食店だった。
店主が長野県・飯田氏の南、天竜川近くの出身で
そこから屋号を「天竜」に定めたわけだ。
この時期はその川で獲れた若鮎が絶対のオススメ。

初回はランチタイムにおジャマして
鮎飯せいろと鮎の天ぷらをいただき、
鮎飯がいたく気に入ってしまった。
店主の言葉によれば、
夜には飲んだあとの締めとして
鮎の炊き込みごはんが食べられるという。
無性に食べたくなり、5日後にウラを返した。

当夜の面子には道東ロケに一緒に出掛けた
NHKのディレクター・H道クンと
フジテレビのマドンナ・A子嬢をお誘いした。
3人で飲むのは2ヶ月ぶりだ。
再開を祝し、まずはビールで乾杯。
同時に芋焼酎・薩摩富士をボトルでお願いしておく。

前菜から早々と、料理人の腕とセンスの光るもの。
固めにゆでておいて、よお〜く冷やした枝豆がうまい。
じゅん菜と合わせたもずく酢、1切れの穴子寿司、
非の打ち所のない組み合わせ。
冷製炊き合わせの冷やし鉢がまたけっこう。
実に丁寧なシゴトが施されたその内容は
巻き海老・生麩・冬瓜・さつま芋・海老しんじょ。
夏の夕暮れの酒の友としてこれ以上の料理があろうか。
涼しくなったら、温かい炊き合わせもぜひ味わいたい。

刺身の盛合わせも粒よりのサカナたち。
豪華絢爛といった派手さはなくとも
いかにもよいもの、うまいものを集結させている。
料理屋よりも、一流鮨屋の刺盛りといった風情だ。
生のサカナを食べるにどちらがよいかは自明の理。

平目の薄作り・まぐろ・とり貝・さんま・いか・
甘海老、そして皿上の主役とも呼ぶべきかつおは
刺身とたたきの一人二役で登場した。
春から夏へのかつおは、秋の戻りがつおより好きだ。
生姜だけでなく、にんにくがほしいところだが
その匂いを避けたがる和食店が多いのも事実。
ムリは言わないことにした。
この頃には焼酎ロックのピッチもかなり上がっていた。

しばらくの間、ああでもない、こうでもないと
取り留めのない談笑に終始し、
いよいよお待ちかね、若鮎の炊き込みごはんだ。
5日前のせいろ飯と食べ比べると、
似て異なものであることがよく判る。
せいろ飯は鼻腔を刺激し、
炊き込みご飯は味覚に訴える。
手っ取り早く表現すれば
香りのせいろ、味の炊き込みということなのだ。

なす・きゅうり・白菜の新香と一緒に楽しみ、
ちゃんとお替わりもして、3人揃ってニコニコ顔。
さて気になるお勘定は、お一人様6千円でオツリがきた。
どうでしょう、このCPの高さは?
鮎は10月初旬まで楽しむことができる。
まだまだ、時間的余裕はあるので
ぜひお出掛けいただきたい。


【本日の店舗紹介】
「天竜」
 江東区清澄3-3-28
 03-3630-8850

 
←前回記事へ

2008年7月23日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ