「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第544回
こんな欧風カレーは初めてだ(その2)

荻窪のカレーショップ「トマト」に来ている。
店の前でジリジリと照りつける太陽の下、
順番がくるのを待っている。
小さな女の子を連れたお婆さんがやって来た。
この2人にこの炎天下はちと酷である。
すでに子どもの眉(まゆ)は8時20分を指している。
かわいそうに。

5分ほどでテーブルが空き、入店。
お婆さんと子どもの番はまだこないが
この2人だけは熱い陽射しを避け、店内で順番待ち。
そうでもしないと、どちらか倒れちゃうよ。

レジの脇に置かれたビジネスカードを手に取ると
欧風カレー&シチュー専門店とあった。
そういえば、この店が本格的なビーフシチューや
ビーフハンガリアンも供することを思い出した。
ハンガリアンというのはおそらく
牛肉とパプリカで作るハンガリーの国民的料理、
グーラッシュのことであろう。
ここで突然、15年ほど前に
ブダペストのレストランで
食べたグーラッシュの味がよみがえった。

テーブルに着いてメニューを開く。
見開きの右ページにはシチューやストロガノフが
並んでいるがすべて3千円以上の高価格。
ビーフシチューなど3990円だ。
この値段から察すればかなりのボリュームの
本格的なシチューが現れそうだが
今日はカレーライスを食べにきた。

一番人気の和牛ビーフジャワカレー(1785円)を注文。
この一品だけに辛口の表示があり、
あとは仔牛のミルクカレー(1680円)だけがマイルドで
ほかはすべて中辛となっている。
ただし、中辛から辛口へのアレンジは無料。
大辛は55円、極辛は105円の追加料金がかかり、
マイルドへの変更はミルクを使うせいか315円増し。

左ページのカレーのラインナップを丹念に見てみよう。
和牛ビーフ(1785円)・骨付きチキン・帆立貝柱・
海老・季節の野菜(各1680円)・ビーフタン・
シーフード(各2310円)といったところが
ズラリと並んでいる。
シーフードが豪華版で、蟹・海老・帆立・
サーモン・ムール貝の絢爛さ。

カレーのソースはフォン・ド・ヴォーと
グラッス・ド・ヴィアンドと香味野菜に
36種類のスパイスで念入りに作られる。
シチューやストロガノフには
スパイスの代わりに赤ワインと
ブーケガルニが使われるのだそうだ。
店の隅に淡路産玉ねぎのダンボール箱を発見。
カレーショップでもっとも重要な野菜は玉ねぎ。
さすがにいいものを仕入れている。

厨房に立つのが旦那さん、
接客に当たるのが奥さんで、
ご夫婦二人だけの切り盛りの様子。
ちょっと喫茶店風な店内の居心地は悪くない。

            =つづく=

 
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2008年8月1日(金)

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