「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第545回
こんな欧風カレーは初めてだ(その3)

ご夫婦二人きりで営む荻窪の
欧風カレーとシチューの専門店「トマト」で
和牛ビーフジャワカレーの出来上がりを待っている。
店内にはスパイスのいい匂いが漂っている。

小体な店はカウンターが3席に
テーブルが2人掛け2卓、4人掛け2卓の計15席。
もっともカウンターの1席は使われないようだし、
4人掛けのテーブルも2〜3人で占拠されている。
加えて相席をさせない方針だから、
必然的に客は順番待ちを余儀なくされる。
もっとも、ジャンジャン詰め込んでも
調理と接客に支障を来たすだけだろう。

ほどなく福神漬けとアチャールが運ばれた。
玉ねぎのアチャールはよく見ると醤油漬けだ。
順番待ちの際、J.C.の前に並んでいたご夫婦が
隣りのテーブルで注文した季節の野菜カレーと
和牛ビーフジャワカレーが到着。

こういうときには無意識のうちに
他人様(ひとさま)の料理に視線が流れてしまう。
これを無礼だとか、無粋だとか非難されても困る。
なぜならば、哀しい人間の本能だからである。
野菜カレーは野菜の素揚げをソースに浮かべたもので
グツグツと煮込んだものではない。
札幌発のスープカレーによく見られるタイプで
J.C.にとってはまったく魅力のないものだ。

自分もお願いしたビーフジャワのほうは
チョコレート色のソースに牛肉の肉塊が
ゴロリゴロリと入っていて存在感あり。
ふ〜む、なかなかうまそうだぞ、これは。
このカレーには福神漬けよりも
玉ねぎの醤油漬けのほうが合いそうだな、
などと思いをめぐらしている間に
わがカレーがやって来た。

ライスの上にはレーズンのほかに
欧風カレーのお約束、チーズ片がパラリパラリ。
そういえばこのお店、欧風カレーの店なのに
ゆでたじゃが芋が出てこなかった。
芋好きにはありがたいものなのだろうが
そうでない人間にとって、ありゃ大迷惑だ。
もともとシツッコい欧風に芋とバターが輪をかけて
食後感の悪いこと、悪いこと。

ライスの上にレードルで牛肉とソースをかける。
う〜ん、いい香りですねぇ。
ソースにコクだけでなく、キレがある。
これはインディアンスパイスの賜物で
このカレーは正確に表現すると
印度式欧風カレーということになりましょう。
こんな欧風カレーは初めての経験。

それにしても牛肉の柔らかいこと、うまいこと。
ライスも上手に炊けている。
玉ねぎの醤油漬けもタップリいただいた。
順調に食べ進み、残り3分の1に達したとき、
突然、スプーンの動きが止まったのは
胃に重たさを感じたからだ。
これは血糖値が上がって糖分が脳に達し、
その脳が胃に向かって、もう栄養はエーヨウ!
な〜んて言っちゃって
食べるのはおやめなさいという信号。
でも味がいいから、信号を無視して全部食べちゃった。


【本日の店舗紹介】
「トマト」
 東京都杉並区荻窪5-20-7
 03-3393-3262

 
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2008年8月4日(月)

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