「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第568回
北米からの招かれざる客

昨日のコラムでふれたホンビノス貝。
漢字では本美之主貝と書き、主産地は北米東海岸。
J.C.がニューヨーク滞在時に
よく食べたリトルネックというはまぐりの1種だ。

やはりこの貝のことが気になって仕方なく、
翌々日には再び浅草は雷門前の
スーパー「オオゼキ」に出掛けたのだった。
すると、ありました、ありました、
7〜8パックは並んでいました。
それぞれに6〜7個入りで
100グラム当たり78円とある。
小ぶり・中ぶり入り混じって
7個入り178円というのを買ってきた。

このホンビノス貝のおかげで
その日は家で晩めしということになった。
「オオゼキ」の隣りの精肉店「松喜」に
立ち寄ったりもして、食材を買い求める。
その夜の献立は以下の通りであった。

アンティ:冷奴 しらすおろし ポテトサラダ 
プリモ:金目鯛つけ焼き 鳥レバー時雨煮
セコンド:ミニッツステーキ ピーマンのカレー炒め
           (1人前当たり約1200円)

冷奴の豆腐やしらす自体は市販品だがすべて手造り。
ポテトサラダは作りすぎてしまい、
翌日はサンドイッチとなる運命。
金目のつけ焼きは醤油と清酒の同割りに
半日付け置いたのを網であぶるように焼く。
鳥レバーも醤油と清酒と砂糖と生姜の皮で煮て、
あとは粉山椒を振るだけ。
ミニッツステーキの部位はランプ肉で
非常に安いから和牛ではなかろう。
豪州か米国かは定かでないが
ガーリックステーキにして、なかなかの美味。
青草臭が皆無だったからグラス・フェッドではあるまい。
ピーマンは青椒肉絲の豚肉抜きと同じ。
サッと炒めてカレー粉を振り、付け合せに。
ステーキと一緒に食べると、
舌の上で青椒牛肉絲と相成った。

珍妙なるホンビノス貝のせいで
その夜のわが家の厨房は大変なことになってしまった。
くだんのはまぐりは5つを生食、2つは吸い物にした。
紙上では簡単に生食と書いているが、実は一苦労。
固く殻を閉じているので開けることかなわず、
金槌で叩き割って身を取り出した。

ネットには生臭くて食べられないという
カキコミが散見されたが、
これぞニューヨークでさんざっぱら食べた味。
とても懐かしいものがあった。
日本人は、はまぐりの生食に慣れていないので
どうしても生臭く感じてしまうのだろう。
その後、腹の具合は何ともないから
はまぐりの生食をおすすめしたい。うまいですぞ。

北米からやって来た貨物船のバラスト水の中に
潜んで生き延び、東京湾に放出されて
増殖した招かれざる客は
1998年に初めて幕張で発見されたという。
遠路はるばるご苦労さん!というほかに言葉がない。

本美之主貝の意味は
当は国(中国語で米国のこと)(の)
(あるじ)となるべきのことだったんですね。
勝手なこじつけだが、当たらずとも遠からずであろう。

 
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2008年9月4日(木)

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