「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第585回
麻婆豆腐で給食を思い出す

麻婆豆腐が日本に上陸したのは
いったいいつ頃のことだったのだろうか。
陳健一さんのお父さんの陳建民さんが
はるか昔に来日しているから
おそらくその頃なのだろう。

それでは麻婆豆腐が中華料理店のメニューや
家庭の食卓にもひんぱんに
登場するようになったのはいつだろうか。
少なくともJ.C.が子どもの頃にはなかった。
きちんとした中華料理店に行けば
食べられたのかもしれないが
庶民には見たこともない料理だったはずである。

もともとは1860年代、日本の幕末の頃に
四川省は成都のはずれの万福橋にあった
飯屋の陳麻(チンマー)婆さんが
創作して評判をとった料理だから
それほど古い歴史を持っているわけではない。

それにしても日本人は外来の料理を
自分のものにしてしまう才能にかけては
世界一の民族だと思われる。
中国のラーメンと餃子も
インド(英国経由だが)のカレーも
イタリアのピッツァとスパゲッティも
フランスのバゲットも
イギリスのサンドイッチも
韓国の焼肉とビビンパと冷麺も
アメリカのハンバーガーも
みんなみんな取り入れてしまった。

視点をマクロからミクロに移すと、
日本人は挽き肉を使う料理が好きなようである。
ちょっと数えてみただけで、こんなに出てきた。

 中国 → 麻婆豆腐・肉団子
 インド → キーマカレー・シークケバブ
 ロシア → ロールキャベツ
 イタリア → ミートソース・ミートボール
 ドイツ → ハンバーグステーキ
 アメリカ → ハンバーガー

挽き肉料理はみな柔らかいので
そんなところが日本人に好まれるのかもしれない。

神田美土代町の人気店「四川一貫」で
陳麻婆豆腐を食べてきた。
一皿1470円也である。
激辛というのではなく、
花椒と豆板醤の塩梅がほどよく、
ビールにもライスにもピッタリだった。

この店の麻婆豆腐の特長は
豆腐をよく炒めること。
店によってはサイコロ状の豆腐が
原型をとどめているところもあるが
ここのはグズグズに崩れている。
これが小学校の給食の炒り豆腐にそっくりだ。
子どもにとって豆腐料理ほど退屈なものはなく、
炒り豆腐が出てくると
ガッカリするのは毎度のことだった。
今でも献立に載っているのだろうか。
飽食の時代の子どもたちが喜んで食べるものとは
とてもとても思えないのだけれど・・・。

調べて判ったことだが、のりたまの丸美屋が
麻婆豆腐の素を売り出したのが1971年のこと。
おそらくこの2〜3年前から
ポピュラーになったものと推測される。


【本日の店舗紹介】
「四川一貫」
 東京都千代田区神田美土代町11-1
 03-3291-9787

 
←前回記事へ

2008年9月29日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ